日本維新の会を旗揚げするやブームを巻き起こし、一方で批判の声もきかれる橋下徹氏。ジャーナリストの田原総一朗氏はそんな橋下氏に関心があるといい、実際に会った時の印象を次のように話している。
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私は橋下氏に、韓国の李明博大統領がやってきた竹島問題、日本政府が国有化を宣言して連日過激な反日デモが行われている尖閣問題について、どう対処すべきかを問うた。韓国が不当に実効支配している竹島に実力行使すべきか、とも問うた。
橋下氏は、実力行使については明確に否定し、根気強く交渉をして共同管理を目指すべきではないか、と答えた。外交についてはほとんど素人である橋下氏は、竹島や尖閣の歴史についてずいぶん勉強していて詳しかった。鄧小平が、尖閣の決着は先の世代まで延ばそうと表明していたことなどを細かく説明した。
その上で橋下氏は、「9月9日、ウラジオストクのAPEC首脳会議で、野田佳彦首相が中国の胡錦濤主席に尖閣国有化の意向を伝えたところ、胡主席は『断固反対』と強く拒否した。それにもかかわらず、わずか2日後の11日に国有化を決めたのは、胡主席のメンツをつぶしたことになるのではないか」と語った。私も橋下氏にまったく同意した。
さらに橋下氏は、「中国を挑発するように東京都による買収を表明した石原慎太郎さんをもっと悪者扱いして、利用すればよかった」とも語った。私もそのとおりだと思う。
ともかく、橋下氏は想像していたよりも柔軟性があり、バランス感覚のある人物であった。
※週刊朝日 2012年10月12日号