反日デモに不買運動、そして通関検査の厳格化――。中国ビジネスを拡大してきた日本企業はかつてないほどの苦境に立たされている。このままでは日本経済がとても恐ろしい事態になりそうにも思えるが、実はそんなに怖くない!

 9月17日付の中国共産党機関紙、人民日報の社説。そこには日本に対する挑戦状とも受け取れる攻撃的な言葉が並んだ。

〈日本側が挑発を続けるならば、中国側は応戦しなければならない〉
〈日本の製造業、金融業、特定の対中輸出製品、対中投資企業などがターゲットになる可能性が高い〉

 この社説の題名は、「中国はいつ日本に対して経済カードを切るのか?」。「中国依存度」が高まった日本企業に通関検査の強化や不買運動などで「経済制裁」を加えようという提言である。

 こんな言葉もある。日本経済が低迷した「失われた10年」を引き合いに出し、〈日本はさらに10年を失いたいのか〉と、恫喝するのである。

 中国側が強気になるのも無理はないのかもしれない。中国はいまや日本にとって最大の輸出・輸入相手国だからだ。2006年に米国を抜いて、ナンバーワンの「お得意様」に躍り出た。

 そんななか、こんな動きも見えてきた。まず、連結売上高が増えているのに、中国の売上比率が下がっている会社が4社ある。その1社がコマツで、10年度は20.7%だったが11年度には11.6%に下がり、12年度も8.5%になる見通しだ。

「かつてほど中国の景気に元気がないからですよ」(ある幹部)

 生産拠点でも同じだ。縫製作業など労働集約型産業の典型として、早くから中国に進出したアパレル業界も「中国依存度」を下げつつあるという。

週刊朝日 2012年10月12日号