ソフトバンクは毎回のようにダサいスローガンで注目を浴びている (c)朝日新聞社
ソフトバンクは毎回のようにダサいスローガンで注目を浴びている (c)朝日新聞社
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 今やすっかりシーズン開幕前のお約束となった各球団のスローガン。その歴史は古く、1970年に南海のプレーイングマネジャーに就任した野村克也監督の「シンキング・ベースボール」や85年に阪神の21年ぶりVの代名詞にもなった「3F」(フレッシュ、ファイト、フォア・ザ・チーム)などがよく知られている。

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 その後も長嶋巨人の「Speed&Charge」、星野阪神の「NEVER NEVER NEVER SURRENDER」など戦う姿勢を表現したもの、「Victory」「頂点」などの“目指せV”系、下位からの逆襲を誓う“チーム一丸”系のスローガンが毎年のようにお目見え。当然ながら、何十年もやっていると、パターンも出尽くしてくる。「運動会や体育祭のスローガンみたい」「英語と漢字の組み合わせはやめてほしい」と、ファンから不満の声も出てきた。

 そんなマンネリを打破しようと、ある意味ダサさを意識したスローガンで流れを変えたのが、2011年にソフトバンクが発表した「ダ」だ。

 選手一人一人のさらなる成長と、肉体的、精神的にもっとタフになるよう、「やるんダ!」「勝つんダ!」「超えるんダ!」の“ダ”に「ホークスの強い決意」を込めたというのが選定理由。たった1文字の「ダ」は、いい意味でも悪い意味でもインパクトがあり、「ダで草」「“ダ”せえ!」などの拒絶反応も相次いだ。

 だが、「ダ」は、ライバルチームも含めてじわじわと浸透していく。日本ハムのエース・ダルビッシュ有は「苗字が『ダルビッシュ』の自分としては嫌でも意識してしまうな」とツイート。7月29日の首位攻防戦、日本ハム戦では、2本のタイムリーを放ち、勝利に貢献した川崎宗則が、試合後のお立ち台で「1、2、3、チェストー!せーの、ダ!」と音頭を取り、満員のスタンドを総立ちにさせた。同年、ダイエー時代の03年以来8年ぶりに日本一を奪回したのは、まさに“ダ効果”と言えるだろう。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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