■セカンドオピニオンとるべきケース
胃がん手術はガイドラインが整備されているため、治療方法がガイドラインに沿っていれば、どの病院でもおよそ同じ治療が受けられる。そのため、セカンドオピニオンをとるべきなのはガイドラインにのっていないようなケースだ。
「手術が適応にならないステージIVの胃がんに薬物療法がよく効き、転移が消失するなどした場合に手術適応が再検討されることがあります。このような手術をコンバージョン手術といいます。コンバージョン手術は、がんが縮小したとしても本当にステージが下がっているかどうかの判断が難しい。また、もともとの転移の程度や抗がん剤の効き方、患者さんの全身状態も異なるため、病院によって診断が分かれそうです」(長医師)
河本医師も、コンバージョン手術はそれぞれの病院の経験値が問われる治療だという。手術が適応にならないステージIVの進行がんで、手術の可能性を探りたい場合は、経験値の高い病院でセカンドオピニオンを受けたほうがよさそうだ。
前述したとおり、胃の機能温存が考慮された手術が増えていることから、胃全摘の場合もセカンドオピニオンをとっていい症例といえる。
「胃の機能温存は、がんの根治性を犠牲にしてまでおこなうべきではありません。しかし、胃全摘を回避できれば体重減少抑制などのメリットがあります。過度な体重減少は体力の低下につながり、術後の回復にも影響します」(長医師)
≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫
ケース
胃を全摘する場合
胃全摘は術後に体重が20%程度減少することがある。胃体上部のがんは全摘することが多かったが、全摘はなるべく避ける試みが増えてきた。QOL(生活の質)が大きく変わる手術は他の医師の意見を聞こう。
ケース
薬物療法がよく効いたIV期のその後の治療
ステージIV期は通常、手術適応とならない。しかし、薬物治療で効果が出ると、手術適応が再検討される場合がある。手術適応になるかどうかは、判断が分かれやすいため、経験値の高い病院にかかろう。