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「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」
発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第11回の質問は「1日中遊んでいるとおもちゃが散らかってしまうのはなぜ?」です。
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【Q】1日中遊んでいるとおもちゃが散らかってしまうのはなぜ?
【A】おもちゃが帰るところを知らないからです。
遊びの時間が終わって「おもちゃを片づけなさい」と言われると、楽しく遊んでいた気分も一転して暗い気分になりますね。「片づけなんかなければいいのに」と思います。
私が中学生のころ、先輩が「一瞬で片づける手品」を見せてくれました。コップが2つあり、片方に赤い玉が50個ほど、もう片方に白い玉が50個ほど入っていました。赤玉が入っているコップの口の部分に、白玉が入っているコップをさかさまにしてかぶせます。多くの赤玉の上に多くの白玉がのりますが、その2つのコップが合わさった状態のまま、上下に激しく振ります。すると、赤白の玉が散り散りに混ざり合った状態になります。
先輩は、それをすっと背中に回したと思ったら、次の瞬間にはもう、右手のコップに赤玉が全部、左手のコップに白玉が全部入っていました。混ざり合った状態からひとつひとつ赤白を分けるのには相当の手間が必要なので、私はたいへん驚きました。こんな魔法があったら、片づけもきっと“おてのもの”ですよね。
後から知ったのですが、この手品のタネは単純で、各玉に釣り糸がついていて、その端がコップの底にのり付けされていたのです。赤白の玉は混ざり合っていても、それぞれ赤玉は一方のコップに、白玉は他方のコップにひもづけられています。だから、コップを離してひもを引くことで、それぞれの玉が色別にすぐに分けられ、所定のコップにおさまるのです。
おもちゃの片づけも同様です。おもちゃにひもがついていて、しまう場所につながっていれば、ひもを引くだけで元の場所に戻せるでしょう。まさに「おもちゃが帰る場所を知っている」わけです。