■CMのサンタ姿に女性からも「かわいい」

 過激な役だけでなく、女性の心の機微を表現するのも桜井は実にうまい。ドラマ「G線上~」では、主人公たちが通うバイオリンの講師を好演。中川大志演じる理人の兄の元婚約者で、理人からの気持ちに気付いていながらもそこに触れようとはしないという複雑な役どころを繊細な演技で視聴者を魅了。SNSでも「桜井ユキ、クールな感じも甘めな格好も非常に良い」「仕草や表情から全然違っていてすごい」などと演技を絶賛するコメントが数多くあがった。

「昨年12月に放映されたソフトバンクのCM 『恋人がサンタクロース』篇では、田中圭さんと共演していますよね。田中さんが待ち合わせていたサンタが、実は桜井さんだったという設定ですが、『かわいすぎる』という女性からの声も多い。容姿端麗なルックスなのに肝のすわった役や、強く見えて実はもろいという女性の本質もしっかり演じられるという点で、同性からも支持されています。今年は、昨年以上に映画やドラマでの活躍が見られるのではないでしょうか」(同)

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、今後の彼女の活躍に期待を寄せる。

「安藤サクラや門脇麦ら実力派が顔を揃える事務所に移籍した2016年頃から出演作が増え始め、ディーン・フジオカ主演のドラマ『モンテ・クリスト伯』では、ディーンを最後まで影ながら支える協力者約が印象に残っています。また、昨年11月に公開された福山雅治主演の映画『マチネの終わりに』でも、福山演じるクラシックギタリストをサポートする献身的なマネジャー役として存在感のある演技を披露。目に見える形で着実にキャリアを積み重ねています。落ち着いた佇まいの中にも鋭い視線と内なる強さを秘めたキャラクターがハマり役ですが、今後はさらに幅広い役を演じることで、女優としての地位がより確固たるものになっていくでしょう。本格的な時代劇などでの勇姿をぜひ見てみたいですね」

 最近、女性誌のインタビューでは仕事を筋トレにたとえ、演じ続ければ感情を鋭敏な状態に持っていくことができ「違う役が次にきてもすぐ対応できます」と答えていた(『GINZA』2月号)。どんな役柄も自分のものにしてしまう実力派に、ついに時代が追いついたといっても過言ではないだろう。クールビューティから繰り出される予想の斜め上を行く演技に2020年も目が離せない。(高梨歩)

著者プロフィールを見る
高梨歩

高梨歩

女性ファッション誌の編集者など経てフリーライターに。芸能やファッション、海外セレブ、育児関連まで、幅広いジャンルを手掛ける。活動歴は約20年。相撲フリークの一面も。

高梨歩の記事一覧はこちら