2008年はクルーン(前横浜)、グライシンガー、ラミレス(ともに前ヤクルト)ら同リーグで活躍していた助っ人選手を獲得。FA補強以上にチーム力がアップし、ライバルチームの戦力低下も生んだことで有利に戦えたのは否定できない。
だが、翌年の2009年に関しては、野手では前年からレギュラーとなった坂本勇人、育成出身の松本哲也などの若手と、阿部慎之助、亀井義行ら当時の中堅選手がチームをけん引した。投手もヤクルトで活躍できず退団となったゴンザレス、高橋尚成、内海哲也、東野峻らの先発投手が勝利を重ね、越智大祐、山口鉄也のリリーフ陣もフル回転の働きを見せるなど、伸び盛りの若いプレイヤーや生え抜き選手を中心に優勝をもぎ取ったといってもいい。
2013年についても、新助っ人のロペス獲得が当たり、ルーキーだった菅野智之がチームトップの13勝をマーク。これらの新戦力のパフォーマンスに加え、阿部、坂本、長野久義などの野手陣に、内海、山口、西村健太朗ら既存の戦力が優勝の原動力に。他チームから選手を“奪う”ことなく、2位阪神に12.5ゲーム差をつけてのリーグ2連覇を果たしている。
優勝できなかったシーズンでも、前述のとおりBクラスは1度だけ。勝てなかった年でも、98年には松井秀喜がキャリア初となる本塁打と打点で二冠に輝き、3年目の清水隆行が自己最多の129試合に出場して打率3割をマーク。また、ベテランの斎藤雅樹、桑田真澄の両日本人右腕がチームを支えた。2001年も元木大介、入来祐作とかつてのドラフト1位指名選手がキャリアハイクラスの成績をマークしたりと、勝てないなりに生え抜き選手が成長を見せるという“収穫”もある印象だ。
今季は7年ぶりにFA補強なしに終わり、他チームから補強した助っ人もゼロとなった。しかし、こういった年こそ新たな戦力となった助っ人の活躍ぶりや、若手の台頭が期待できるシーズンとなり、巨人ファンも純粋にチームを応援できるのではないか。
メジャーで実績のあるパーラを新助っ人として獲得し、昨年イチロー以来となる高卒1年目で二軍の首位打者となった山下航汰の存在も楽しみである。また、現在レギュラーが確定していないセカンドを誰が守るのかなど、今年の巨人は新たな戦力の発掘という意味では非常に楽しみなシーズンとなるだろう。