子供時代を描かずに青年時代から始めた見せ方により、最初からしっかりとしたヒーローとして描かれている。

 さあ、このヒーローがなぜ主君を裏切るのか? 第一話の中で「麒麟がくる」というタイトルの意味が説明された。麒麟がくる時代は、争いごとがなく穏やかな時代。明智光秀は、そんな平和な時代を目指すのだ!というテーマを投げて終わった。それを見て、なるほどと。光秀が信長を討った理由は諸説あるが、この「麒麟がくる」ではおそらく……。

 信長の天下統一に向けて、光秀自身も含めてみんなが精神的に限界を超えてやってきた中、天下統一したら穏やかな時代が訪れると思っていたが、どうやら、天下統一した後も信長は朝鮮出兵や、他国との戦いをしていくつもりなのだと気づき。このままだと穏やかな時代はこない。つまり麒麟はこない……と感じて、本能寺の変を起こすのでは?と勝手に考察してみたのだが。最近、考察したくなるドラマはヒットしてるが、まさしくこの大河もそう。考察大河ドラマだ。

 パワハラとか働き方改革が叫ばれる今の時代に、信長の家臣へのプレッシャーの掛け方とかどう描くのか? すべてが今の時代に繋がってくる大河ドラマになる気がする。いや、楽しみです。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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