足立光(あだち・ひかる)/(株)ナイアンティック シニアディレクター プロダクトマーケティング(APAC)。P&Gジャパン(株)、シュワルツコフ ヘンケル(株)社長・会長、(株)ワールド執行役員などを経て、2015年から日本マクドナルド(株)にて上級執行役員・マーケティング本部長としてV字回復をけん引。18年9月より現職。(株)I-neの社外取締役、(株)ローランド・ベルガーやスマートニュース(株)のアドバイザーも兼任。著書に『圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』、『「300億円』赤字だったマックを六本木のバーの店長がV字回復させた秘密』。訳書に『P&Gウェイ』『マーケティング・ゲーム』など。オンラインサロン「無双塾」主催(撮影/写真部・小山幸佑)
足立光(あだち・ひかる)/(株)ナイアンティック シニアディレクター プロダクトマーケティング(APAC)。P&Gジャパン(株)、シュワルツコフ ヘンケル(株)社長・会長、(株)ワールド執行役員などを経て、2015年から日本マクドナルド(株)にて上級執行役員・マーケティング本部長としてV字回復をけん引。18年9月より現職。(株)I-neの社外取締役、(株)ローランド・ベルガーやスマートニュース(株)のアドバイザーも兼任。著書に『圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』、『「300億円』赤字だったマックを六本木のバーの店長がV字回復させた秘密』。訳書に『P&Gウェイ』『マーケティング・ゲーム』など。オンラインサロン「無双塾」主催(撮影/写真部・小山幸佑)
この記事の写真をすべて見る
土合朋宏(どあい・ともひろ)/一橋大学大学院商学研究科卒業。外資系戦略コンサルティングを経て、日本コカ・コーラ(株)に入社。16年間マーケティング本部で、世界初のライフスタイルやトレンドの調査部門の立上げ、ファンタ、アクエリアス、爽健美茶など既存ブランドの立て直し、綾鷹などの新製品開発などを指揮。その後20世紀フォックス ホームエンターテイメントに移り、代表取締役社長を務め、2017年より外資系映画配給会社で事実上のCMOとして全部門のマーケティングを統括。新市場創造型商品を研究する日本市場創造研究会の理事を歴任。訳書に『マーケティング・ゲーム』など(撮影/写真部・小山幸佑)
土合朋宏(どあい・ともひろ)/一橋大学大学院商学研究科卒業。外資系戦略コンサルティングを経て、日本コカ・コーラ(株)に入社。16年間マーケティング本部で、世界初のライフスタイルやトレンドの調査部門の立上げ、ファンタ、アクエリアス、爽健美茶など既存ブランドの立て直し、綾鷹などの新製品開発などを指揮。その後20世紀フォックス ホームエンターテイメントに移り、代表取締役社長を務め、2017年より外資系映画配給会社で事実上のCMOとして全部門のマーケティングを統括。新市場創造型商品を研究する日本市場創造研究会の理事を歴任。訳書に『マーケティング・ゲーム』など(撮影/写真部・小山幸佑)

『世界的優良企業の実例に学ぶ 「あなたの知らない」マーケティング大原則』足立光著P&G、コカ・コーラ、マクドナルド、ツイッター、スマートニュース、ナイアンティックなど、世界的な優良企業で実践してきたマーケティングの「原則」を実例とともに解説。困った時・迷った時にすぐ使える、マーケティング実務者のための戦略指南書!
『世界的優良企業の実例に学ぶ 「あなたの知らない」マーケティング大原則』足立光著
P&G、コカ・コーラ、マクドナルド、ツイッター、スマートニュース、ナイアンティックなど、世界的な優良企業で実践してきたマーケティングの「原則」を実例とともに解説。困った時・迷った時にすぐ使える、マーケティング実務者のための戦略指南書!

「マーケティング」とは一体何なのか?

【対談相手で、マーケティングの最前線にいる土合朋宏氏はこちら】

 言葉は定着すれど、業務は複雑化するばかりのマーケティングだが、実は大原則があった……。

 P&G、ヘンケル、ワールド、マクドナルド、そして現在はPokemon GOなどを制作するナイアンティックに在籍する経営とマーケティングのスペシャリストである足立光氏と、日本コカ・コーラ、20世紀フォックス ホームエンターテイメントなどを経て、現在は外資系映画配給会社の日本におけるマーケティングの責任者として最前線にいる土合朋宏氏が、共著『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』を刊行。これを記念して、「日本の広告とアメリカの広告の違い」についてのお二人の対談を特別に公開する。

*  *  *

足立:土合さんと私のキャリアは外資系企業からスタートしています。日本企業の広告と外資系の広告の違いを、やはり感じますよね?

土合:そうですね、特にアメリカとはすごく違います。米企業のマーケティングのコミュニケーションの基本は、「ブランドのコア価値を伝えていく」ことです。つまり、「うちのブランドは素晴らしい」という前提に立っているわけです。だから、米企業はブランドの良さ、いいところを磨いて、ブランドそのものがより一層輝くように広告を開発していきます。一方、日本の広告は「ブランドはそれほどでもないけど」という前提に立っているケースが少なくありません。多いのは、広告する製品・サービスの近くに光っているものを持ってきて、その製品・サービスが輝いて見えるようにする、というやり方です。

足立:セレブリティ広告」が最もわかりやすい例でしょう。日本では、有名タレントなどに商品を持たせて、何となく「あれ? 商品も光ってる!」と思わせるようなテレビCMが非常に多い。海外のセレブも広告でよく見かけますね。

土合:残念ながら、実際に輝きが鈍いブランドというのもあるわけです。その場合には、セレブリティ広告は、もちろん、正しいやり方だと思います。ただ日本とアメリカでは、受け手のとらえ方の違いが大きいのかもしれません。つまり、アメリカ人は自分の内面にとても強固なものがあって、「誰が何と言おうと、それは輝いている」と思う傾向が強くて、日本人はその逆で、内面にそれほど強固なものがなくて、「みんなが輝いていると言っているから、それは輝いている」と思う傾向が強いのかもしれません。

次のページ
アメリカに比べて日本のほうが…