今年の夏映画は、いろいろと見たい映画が多かったですね。
 特にアメコミ原作が目立ちました。
 6月の『アメージング・スパイダーマン』を皮切りに『ダークナイト ライジング』『アベンジャーズ』とマーベル、DC、二つの会社を代表するキャラクターが登場していました。

『アメージング・スパイダーマン』と『ダークナイト ライジング』は、僕の周りでも賛否両論ある作品でしたね。
 サム・ライミ版の『スパイダーマン』のほうが面白かったという声も聞くけど、僕は、今回の主人公のピーター・パーカーが理系の頭のいい学生だという点に重きを置いた構成も好きだったんですけどね。
 今回は、スパイダーマンのマスクをかぶっていても、わりとしょっちゅう素顔を出している印象を受けました。それがヒーロー物としては「軽い」と感じる人もいるだろうけど、「ああ、あんな鼻も口も出てないマスクしてりゃあ、そりゃ息苦しいだろう」と思えるくらい、生身の高校生がヒーローをやっている感覚が強かった。僕は、そこが好きでした。
『ダークナイト ライジング』は、前作の『ダークナイト』があまりに面白かったので、やはり期待値が高すぎたのでしょうね。
『ダークナイト』の魅力がヒース・レジャーが演じるジョーカーの存在だったということはわかってはいたのですが、今回はそれ以外にも、いろいろと「あれ? なんでこうなるの?」という展開が多かった。
 特に、僕は、ラストがだめでした。
 町の住民が目視できる場所で核爆発が起きたら、その町には人は住めなくなりますよ。少なくとも今の日本人なら、そのくらいはわかってる。
 クリストファー・ノーランという監督でも核に対してはその程度の知識なのかというのが悲しかったですね。
「そこは娯楽映画だから、あんまり気にしなくてもいいじゃないか」とも思うのですが、娯楽映画だからこそ、そういう嘘はきちんとついて欲しかったと思うのです。
 
 その点、『アベンジャーズ』は本当によく出来た娯楽映画でした。
 いろいろと「なんでそうなるの」という突っ込みどころはある。
 でも、それを上回るくらい「そう来たか!」とか、見たい物を期待以上に見せてくれたりとか、本当に2時間20分楽しい作品なのです。
 ヒーロー大集合でありながら、それぞれの個性と見せ場をきっちり見せる。大破壊は描くけど、あまり陰惨にはしない。
 娯楽映画として、よくできた脚本だなあと感心しました。
 世界に比べて日本ではアメコミ映画はヒットしないと言われていたので、『アベンジャーズ』の日本の宣伝担当も必死だったようですが、今回は日本でもあたったようですね。
 一ファンとしても嬉しいです。

 先日、『アベンジャーズ』のオールナイトトークイベントに出演しました。
 新宿歌舞伎町にあるロフトプラスワンというライブハウスなのですが、土曜の深夜スタートなのに、お客さんが満員。
 しかも、女性客が多い。
 アメコミファンと言えば男性だと思っていたので、驚きました。
 やはりこれだけコンスタントにアメコミ映画が公開されることが大きいのでしょうね。
 最近はアメコミの翻訳もびっくりするくらい多くて驚きます。
 ただ、高いのが難点ですが。オールカラーだし、そうはいってもそこまで大部数は刷れないので仕方がないんだろうなとは思います。翻訳出版されるだけありがたいと思わなければと思いつつも、財布とにらめっこしてしまいますね。