日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、自身も1児の母である森田麻里子医師が、「子どもの見る悪夢の対処法」について「医見」します。
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今年のお正月には、皆さんどんな夢を見ましたか?一富士二鷹三茄子、などと言いますが、私は残念ながらそんな縁起の良い夢をまだ見たことがありません。夢は本来、不安や恐怖を感じるようなネガティブな内容のものが多いと言われています。
2歳後半になる息子も、最近は夢についての絵本を好んで読んだり、「おばけ」の話をしたりしています。どうやら時々怖い夢を見ているようです。私も大人になってからはだいぶ減りましたが、子どもの頃はよく、追いかけられる夢を見ていた覚えがあります。
鮮明な夢は朝方のレム睡眠の間に見ることが多く、悪夢を見て起きてしまうと、なかなか寝つけなくて睡眠に影響が出ることもあります。悪夢は幼児期や学童期に多いイメージですが、実はそれ以降もよく起こります。
2010年に発表された約9万人の日本の中高生の調査では、「先月、悪い夢を見て起きてしまったことがありましたか?」という質問に対し、平均で35.2%の生徒が「はい」と答えています(※1)。
この調査によると、悪夢を見やすい要因としては、女性である、アルコールを摂取している、精神的に不健康である、寝つきが悪い、眠りの質が悪い、日中の眠気がひどい、などがありました。男子生徒では悪夢を見るのは平均30.3%でしたが、女子生徒では39.9%にも上り、はっきりとした性差が見られます。
他の研究でも、思春期から青年期にかけては、女性の方が悪夢を見る割合が高いことがわかっています。ホルモンバランスが影響しているという説や、女性の方が夢への関心が高いので夢をよく覚えているという説があるようですが、理由ははっきりしていません。学年別にみると、中学1年生より3年生、高校1年生より3年生の方が悪夢を見る割合が高くなっており、これは受験等のストレスが関係している可能性もあるのではと感じました。