「よかったじゃん。おやじ、結構年金もらってるからね」
軽い反応に思わずほっとした美咲さんは、その勢いで姑にも報告した。
「見てくださいこのバック。お義父さんに買ってもらいました。大事に使わせていただきます」
悪気はなかったが、これに姑の怒りが爆発した。美咲さんがその怒りに気づいたのは、帰省が終わる直前だった。姑は正月に訪ねてきた親族だけでなく、近所の人にまで嫁の悪口を言いふらしていた。
「うちの嫁は、私の夫にまで手を出す淫乱女なの」
風のうわさでそれを耳にした美咲さんにも火が付いた。
「私からおねだりしたわけじゃないし、誘惑だってしていません!」
ついに嫁姑バトルが勃発してしまった。発端となった舅は見て見ぬ振り。美咲さんの夫も、どちらに味方するでもなく、終始煮え切らない態度だった。
「二度とくるものか!」
それ以来、美咲さんは夫の実家には一度も行っていない。
■孫を待ち望む義父がセクハラ発言 「俺が仕込んだろうか?」
滋賀県に住む良子さん(仮名、30代)は、夫の実家に行くことが憂鬱だった。
「早く孫の顔が見たいんだけど…」
妊活に励むものの、なかなか授からない。夫婦2人で帰省するたび、良子さんは姑の小言に胸を痛めていた。それでも舅は理解を示し、慰めてくれた。
「ごめんな。ああいうことは言わないようにって、いつも注意してるんだが」
夫の両親はともに60代。舅はバブル全盛期を味わった世代で、姑がいないときには、よく女遊びを武勇伝のように語っていた。精力は健在のようで、グラビアアイドルの写真を好んで見るような“現役バリバリ”といった感じの人だった。そんな舅だったが、良子さんに悪いことを言わない分、関係は良好だった。
結婚して5年、例年通り帰省すると、姑の小言がいつもよりも強い。
「いつになったら、子どもと3人で帰省してくれるのよ」
なんでこんなに責められるのか。良子さんは怒りを抑えつつ、姑のいないところで一人、悔し涙を流した。その現場に偶然、舅が通りかかった。