■蒸気暖房の車内でぬくぬくと一献「SLおでん列車」(大井川鐵道)

 大井川鐵道が走る静岡県は、知る人ぞ知る“おでん王国”。濃いめのだし汁を継ぎ足しながら何日も煮込んでいく「静岡おでん」は、まさに大井川鐵道が走る地元郷土料理で、近年は徐々にその知名度を上げているご当地グルメだ。

 この「静岡おでん」を列車に揺られながら味わえるのが、大井川鐵道で運行されている「SLおでん列車」である。

 蒸気機関車が牽引する「かわね路号」にお座敷客車を連結、この車両が「SLおでん列車」となる仕組み。運行区間は「かわね路号」と同じ新金谷(しんかなや)~千頭(せんず)間。金谷~千頭間往復フリー切符と往路のSL急行券に飲食代などをセットにしたパッケージツアーで、千頭まで「SLおでん列車」を楽しんだのちの帰路は自由にアレンジできる。フリー切符は2日間有効なので、沿線で1泊するのもおすすめ。

 客車内は蒸気暖房で暖められ、ポッカポカ。大井川に沿った里山の車窓を眺めながら、お座敷でほろ酔い気分を味わいつつおでんをいただく。飲食物の持ち込みも自由なので、のんびりと宴会旅を楽しんでみてはいかがだろうか。

■飲み放題の地酒と郷土の味覚を堪能「枡酒列車」(明智鉄道)

 左党が頬を緩ませてしまうようなほろ酔い列車が走っている岐阜県の明智鉄道。旧国鉄明智線を引き継いだ第三セクター鉄道で、恵那(えな)と明智とを結ぶ非電化ローカル線だ。25.1キロと比較的短距離ながら、途中の東野(ひがしの)~飯沼(いいぬま)間と山岡(やまおか)~野志(のし)間で小さな峠を越えるなど、変化に富む道中が楽しめる路線でもある。終点・明智には大正期の街並をそっくり保存した日本大正村などの見どころでも知られている。

「枡酒列車」は2013年にデビュー。明智鉄道の名物列車として毎年運行が続けられている。冬期に運行されているのは、新酒の時期に合わせたため。車内では、沿線の岩村にある岩村醸造の日本酒「女城主」のほか、花白温泉の特製弁当などがふるまわれる。また、枡には明智家の家紋・桔梗のほか明智鉄道の車両や全線に有効な1日フリー乗車券をデザイン。ちょっとした鉄道アイテムの記念品になりそうだ。

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富山湾の本格的な味覚と地酒に舌鼓