一方、「THE W」には今のところそこまでの人気と権威はない。だがその分、「THE W」には「縦の連携」がある。主催している日本テレビが局をあげてこの大会を盛り上げる体制が整っているのだ。

 今年の「THE W」に優勝した芸人は、「スッキリ」「踊る!さんま御殿!!」「行列のできる法律相談所」など数々の日本テレビの人気番組への出演権を得られることになっていた。さらに、優勝の瞬間から夜を徹して「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」のロケ企画に参加する特典も付いていた。

 日本テレビのバラエティ番組ではもともと、時には総力をあげて1人のタレントを強力にバックアップしていくような「縦の連携」に定評がある。優勝者はその特権にあずかることができるのだ。「THE W」には「M-1」ほどの権威はまだないかもしれないが、実質的なチャンスを与えられるという意味では、決して見劣りしないものなのだ。

 優勝した3時のヒロインは、森三中以来の才能豊かな女性トリオとして業界内ではすでに注目を集めていた。3人とも器用で芸の幅が広い。「THE W」が芸人にとって本当にいい大会だと言えるかどうかは、3時のヒロインがこれからどれだけ活躍できるかにかかっている。「お笑い第七世代」の女性エース候補である彼女たちの将来に期待したい。(ラリー遠田)

著者プロフィールを見る
ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

ラリー遠田の記事一覧はこちら