今年もさまざまな趣向を凝らしたCMが消費者の心をつかんだが、今回は効率良く消費者の印象に残ったCMを紹介したい。2019年(2018年11月度~2019年10月度)に東京キー5局でCMを放送した全6,922ブランドのうち、CM好感度上位10%のブランドをオンエア1回あたりのCM好感度の獲得票数で並べ替えると表2のような顔ぶれになる。
効率1位はパイロットの『フリクション』。有名タレントやヒット曲の起用に頼らずストーリーそのものの面白さが評価され続けている人気シリーズだ。
2位には明治の冬期限定チョコレート『メルティーキッス』がランクイン。2011年から新垣結衣とオリジナルソングの組み合わせでCMを展開し、冬の到来を告げるCMとして若年女性を中心に毎年幅広い世代から愛されている。今期はメガネとクラシカルなワンピースに身を包んだ新垣が洋酒入りのチョコを食べ「ヤバイです」と“若者言葉”で感想を述べるユーモラスな要素も加わり、支持層の拡大に成功した。
3位は箱根駅伝でのCMが毎年注目を集めるサッポロビールの企業広告。今年は箱根駅伝OBの大迫傑と設楽悠太を起用し、箱根駅伝や陸上競技への思いを語るCMを放送。駅伝中継の視聴者の心情にマッチした内容で感動を誘った。
8位はマツコデラックスを企業イメージキャラクターに起用した亀田製菓『ハッピーターン』だ。マツコが自転車に乗るというインパクトのある映像とともに、リニューアル告知であるにもかかわらず「変わってないわよ」と一刀両断するマツコのコメントが新鮮に受け止められた。わずか1週間のオンエアであったが存在感を発揮した。
9位は大成建設。監督は新海誠、ナレーションは長澤まさみ、楽曲はスキマスイッチという豪華な制作陣によるアニメCMだ。美しい映像に加え、シンガポールで仕事に打ち込む女性を描いたストーリーがSNSなどで反響を呼び、現代ならではの情報の広がりを見せた。