ノーベル賞晩餐会が行われる、ストックホルム市庁舎の「ブルー・ホール」(写真:Gettyimages)
ノーベル賞晩餐会が行われる、ストックホルム市庁舎の「ブルー・ホール」(写真:Gettyimages)
ノーベル・デザートは晩餐会と同様に部屋が暗くなるなか、ダイナマイトを模した花火を付けて客席まで運ばれる(筆者撮影)
ノーベル・デザートは晩餐会と同様に部屋が暗くなるなか、ダイナマイトを模した花火を付けて客席まで運ばれる(筆者撮影)
この年のデザートは、この後にそれぞれのお皿にサーバー(片手でフォークとスプーンを同時に組み合わせて)で取り分けられた(筆者撮影)
この年のデザートは、この後にそれぞれのお皿にサーバー(片手でフォークとスプーンを同時に組み合わせて)で取り分けられた(筆者撮影)

 リチウム・イオン電池開発の功績により今年度のノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェロー、名城大学教授・吉野彰氏が参加する授賞式が12月10日、スウェーデンのストックホルムで催される。

【驚きの演出で届くノーベル賞晩餐会デザートはこちら】

 今回は、現地を何度が訪れたことのある筆者が、授賞式後に行われる晩餐会について解説してみたい。

 ノーベル賞晩餐会は、ストックホルム市庁舎の「ブルー・ホール」(青の間)で催される。

「ブルー」と名の付くこのホールだが、壁は一面赤いレンガで飾られている。実はホールをデザインした当初は、レンガを青一色で塗りつぶす建設案だったのだが、赤いレンガが思いのほか美しかったため、名前だけを残したという。

 晩餐会で出される食事は、スウェーデンの有名シェフが毎年新メニューを考案しており、食材は地元のものが多く使われる。

 メニューは晩餐会開始後の19時に公式発表されるまで、事前に公表されることはない。情報漏洩を防ぐため、料理を提供するホール・スタッフは会場に着き次第、携帯電話などの通信機器を預ける決まりになっている。まさにトップ・シークレット扱いなのだ。

 メニューは前菜、主菜、デザートで構成されており、料理に合わせたワインが3種類(食前酒+ワイン+食後酒[デザート・ワイン])、他にコーヒーなどもある。

 食器は1年に一度、この日のためだけに使用し、普段は市の保険金庫に保管されている。また、晩餐会後は慌ただしく混乱するため、食器は一旦汚れたまま管理され、時間が経ってから洗浄しているという。

「世界で最も混み合う晩餐会」としても有名なこの晩餐会、それだけに招待者は独身なので同じ年齢くらいの異性の隣にして欲しい、または嫌いな知人の隣は避けて欲しい、といったリクエストを出すこともできる。

 イス席の間隔がわずか55センチ、隣の相手のひじとの間が4センチしかないだけに、これは大切なことといえそうだ。

 さて、あまり日本で知られていないのが、晩餐会メニューは予約さえすれば誰でも食べることができる。

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