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YouTubeを始める前と後では夫婦の関係が大きく変わりました。
YouTuberになる前の私は、専業主婦として家事や育児の全てを担当していました。主人だけが仕事をしてお金を稼ぎ、私の仕事は家事が中心。主人は会社経営をしていましたが、「どうせ君には分からないだろう」と仕事内容の詳細を話すことはありませんでした。
ときに会社で起こっている問題を聞いて私が意見をしても、「働いたことがない君は口を出すな」と言われました(これだけを読むと夫が亭主関白のように見えてしまいますが、子煩悩で温厚で優しい人です。念のため)。
そのため、夫婦の会話は、子どものことくらいしかありませんでした。これが、YouTubeを始める前の夫婦の形でした。
その後、YouTubeが軌道に乗り、職業としてYouTuberを名乗るようになりました。その仕事内容は、動画の制作だけではありません。通常の会社と同じように、企業や自治体に営業したり、問い合わせのメールや電話の対応もします。出張先のリサーチや撮影内容によってはスタッフの手配もします。企業からの案件について広告代理店と打ち合わせしたり、同業者や業務提携先とのミーティングもあります。
それだけでなく、税務について税理士と相談することも多々あり、法改正や地域の条例についての知識も必要です。とても一人ではこなせなかったので、私は取引先とのやりとりなど人を相手にする仕事は全て主人に任せて、助けてもらいました。
YouTubeを始めて2年後には、事業を法人化しました。働いたことがない専業主婦の私が、いきなり経営者になったのです。
チャンネル運営は、決して順風満帆ではありませんでした。まず、法人化の翌年あたりから新規参入のYouTuberがどんどん出てきて、競争が激化しました。シェアを奪われないように、新しい技術を身につけたり、創意工夫をして動画のクオリティーを高めたりしました。変化に対応できなかった古株のチャンネルが淘汰(とうた)されていくなか必死に努力を重ねて、なんとか生き残りましたが、クリエイターとして大変な苦悩を味わいました。