成田空港駅や新千歳空港駅のように、全国に点在する“空港”の文字を冠した鉄道駅。名前のとおりに空港アクセスの要になっている駅もあれば、利用者の少ない駅も存在する。今回は、意外と知らない(?)全国の「空港駅」にスポットをあててみた。
* * *
■日本では羽田空港が空港連絡駅の発端
鉄道と航空とは、競合と同時に相互に補完しあいながら共存しているという面も大きい。空港と都心などを結ぶ「空港連絡鉄道」もそうした流れのなかにある交通機関のひとつだ。都市の中心部に乗り入れる鉄道に対し、騒音問題や土地確保などのハンディがある空港は市街地から離れて位置しているのが一般的で、鉄道がその連絡手段のひとつとして機能している。
そんな鉄道と空港との接続点となるのが「空港駅」で、日本では現在14空港に設けられている。その発端となったのが羽田空港(東京国際空港)で、1964(昭和39)に浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレールが開業するとともに羽田駅として営業を開始している。
1998(平成10)年には「京急空港線」が羽田空港(現・羽田空港国内線ターミナル)まで延伸開業。2010(平成22)年に、空港の国際化に伴い国内線ターミナル、国際線ターミナルそれぞれに駅が設置され、空港の玄関として利用されている。
実はそれ以前の1956(昭和31)年に空港線の前身である京急穴守線に「羽田空港駅」が開業した実績があり、駅としては1993(平成5)年まで営業を続けていた。しかし、これは羽田空港の最寄り駅ではあったものの、駅と空港ターミナルとの間の連絡が考慮されていなかったため、空港駅としては日の目を見ることはなかったのである。現在の羽田空港関連駅と比べると隔世の感があるが、当時は空港アクセスとしての鉄道の価値がさほど認識されていなかったのかもしれない。