『髑髏城の七人』』も、いよいよ大千秋楽が近づいてきました。
稽古が始まったのが6月ですから、足かけ四ヶ月。このチームで、初夏から秋まで過ごしたことになります。
今回の芝居、ここまで若手のメインキャストの話ばかりしていますが、改めて新感線の劇団員の力を感じている舞台でもあります。
これまでの公演ではずっと男性俳優がやっていた贋鉄斎という刀鍛冶の役を、今回は高田聖子にふりました。
脚本の段階では、わりとストイックな性格で書いていたのですが、これを彼女は本読みの段階から「おばちゃんキャラ」という、かなり違うアプローチで演じてきた。それがおもしろくて「それなら、むしろこのキャラで最初から書けばよかったね」と彼女に話したくらいでした。
実際に、本番では彼女が登場するだけで舞台の空気が変わる。脚本的にはそれほどギャグのネタを仕込んでいるわけではないのですが、彼女が芝居を膨らませて、情感を出す部分では出し、笑わせる部分では笑わせと、今までの『髑髏城』とはかなり違った味わいのシーンになったのには唸りました。
最初の出番が終わり、彼女がセリで下がっていくときに、お客さんから自然に拍手が出たことがあったのには驚きましたが、「ああ、お客さんは楽しかったんだなあ」と納得もしました。
河野まさとが演じる三五も、礒野慎吾が演じる礒平という役も、彼らがこれまで何度も演じてきた持ち役です。
何度も演じ、役者としても経験をヘたことで、今回は明らかに今までよりも大きくなっている。安定している。
彼らが出ると安心感がある思いになろうとは、若い頃には想像もしなかった。
積み重ねというのはあるのですね。
若い役者たちの真剣なぶつかりあいとそれを支えるベテランたちの仕事、その二つが折り重なり、今回の『ワカドクロ』の魅力となっているのだなあと思います。
「仮面ライダーフォーゼ」でも、ベテランの力にうならされています。
高岩成二さん。『クウガ』と『響鬼』以外の全シリーズの主役ライダーを演じられている、ミスター平成ライダーとも言われるスーツアクターです。
今回もフォーゼを演じてもらっているのですが、これが素晴らしい。
主人公の如月弦太朗は、バカで喧嘩っ早く直情径行だけど、素直な友達思い。こういうシンプルな昭和の番長のような人間が、仮面ライダーになったらどうなるか。その仕草を、初回から実に生き生きと演じてくれています。
主役の福士蒼汰君が、まだデビューしたばかりで演技経験も殆どないのですが、逆に高岩さん演じるフォーゼが弦太朗という男を体現してくれていて、福士君を引っ張ってくれているという感じもしました。
あの視界の悪そうなスーツに入って、演技もアクションもこなす。
『仮面ライダー電王』で、一人の肉体の中に四つの人格が入って喧嘩をするというアクロバティックな芝居をこなしていた時など、以前から高岩さんの仕事には感心していたのですが、自分がホンを書いて改めて、彼のうまさを実感しています。