地方で実力を磨き、フリーランスとして東京で花を咲かせた者もいる。その筆頭といえるのが川田裕美(36)だろう。受験したキー局は全滅したものの、読売テレビに合格し入社。「情報ライブ ミヤネ屋」のアシスタント時代は、メイン司会の宮根誠司のアドリブへの対応力や天真爛漫な明るさが話題となり、その名が東京にまで広まった。
「2015年にフリーとなり、東京に拠点を移してから川田さんの快進撃が始まります。ギコチないスキップを披露したり、アンコ好きや線香好きをアピールしたりと、特異なキャラでイジられることも多いですが、そこが視聴者に親近感を与えているようです。民放だけでなくNHKにも出演するなど好感度の高さがうかがえます。番組進行が上手なうえ、女性芸人のような立ち居振る舞いもできる“二刀流”として『女子アナ界の大谷翔平』と報道されたこともある。実力十分な川田さんの活躍はしばらく安泰といえるでしょう」(同)
ほかにも“政治家の妻”となった滝川クリステルや、お天気キャスター出身でマルチな活躍を見せる皆藤愛子もフジテレビの入社試験に落ちた経験の持ち主だ。TVウォッチャーの中村裕一氏は、キー局で不採用となった彼女たちの活躍ぶりについてこう分析する。
「80年代から90年代にかけて『女子アナ』はまだ希少価値が高く、社会的なステータスも高かったと言えるかもしれません。しかし、一時期のフジテレビや日本テレビのようにユニットを組んでCDデビューさせるなど、まるでタレントのように売り出した結果、今やかつてのような威光はほとんどなくなった。とはいえ、アナウンサー試験は今でも非常に狭き門であるため、当然、多くの人が涙をのむ結果になります。したがって、試験に落ちた過去を持つフリーアナが出てくるのも自然な流れだと思います。また、アナウンサーを目指す女性たちも、キー局のアナウンサー、いわゆる『局アナ』になることに必ずしも固執していないのではないでしょうか。なまじテレビ局の正社員となって長時間の収録で拘束されたり、異動の対象になってしまったりするほうが、かえってキツい場合もあります。むしろ局アナの採用試験に落ちたことをバネにしたり自分のセールスポイントに変えたりして、自由な生き方のできるフリーアナを選ぶ人はこれからも増えていくと思います」
最近、週刊誌で発表された「好きな女子アナ20」(「週刊ポスト」10月7日発売号)では、かつてアイドルアナを生んできたフジテレビからは19位の山崎夕貴アナのみがランクインするというなんとも寂しい結果に。世間が求める女子アナ像の変化や多くのフリーアナウンサーを抱える事務所、セント・フォースの台頭などにより、「キー局に入れば安泰」は過去のものとなりそうだ。今後も令和の女子アナ勢力図は大きく書き換えられる可能性があり、目が離せない。(高梨歩)