そしてもうひとつ、ダイバーシティのある世界、お互いを受け入れることができる世界で、人と人を分離させることばかりに焦点を当てる方が世の中にいますが、そうではなくて、お互いを受け入れる、そしてその強さ、私はそれを信じています。

――二人のかけあいのなかでジョークなどを交えていたのが印象的でした。

アンジェリーナ:マレフィセントの個性の強さの一つというのは、彼女の持つ遊び心ではないかと思っています。だから彼女と相対した時に、彼女を負かすのは難しいのではないか、それだけ強い心を彼女が持っているというわけです。

 クレイジーに思うかもしれませんが、この二人(マレフィセントとディアバル)というのは完璧なペアだと思うんです。それをお互いによく知っていて、お互いを受け入れあっている。お互いを知り尽くしているからこそ遊び心をもってお互いの背中を押すことができる。でも同時にすごく深い心の底からの愛情とお互いへの理解を持っていると思うんです。

サム:前作では、はっきりわかっていなかったんですけど、演じながら気が付いたのが、マレフィセントとディアバルの関係は物語で描かれていること以上に深いのではないかと。つまり長年結婚しているカップルみたいな、長年連れ添った関係のような気がしていたんです。だからこそ、この役で戻ってくるのがとても楽しみだったんです。

 私は今までの映画で死ぬ役が多かったので、同じ役を2回やったことがなかったのです。なので、前に演じたキャラクターをさらに深めていくというのがとても楽しみでした。

――ディズニーの悪役のなかで、このマレフィセントは異色の存在に思えます。

アンジェリーナ:私自身はマレフィセントをすごくエモーショナルなキャラクターとして見ています。いろんな意味で彼女はすごく個性を持っているのではないかと。もちろんそれは母なる自然と、彼女のつながりを考えれば当然のことです。

 でも自然というのは美しかったり花を咲かせると同時に、ハリケーンだったり津波を起こすものでもある。同じようにマレフィセントは自分の気持ちをうまく自分の中で抑えることができない。だからそれが爆発してしまうと、過激な形で表現されてしまうことがある。前作で見ていただいたように、彼女はもともと無垢な存在でした。しかし傷つけられ翼を奪われてしまった。これはメタファーというか、トラウマだったわけです。誰でも人間であれば何か傷ついたり失ったりすれば、その人に変化が起きてしまう。例えば女性の場合もたくさんのことを経験しますし、身体的な変化はもちろんのこと、そのなかで傷つくこと、失うことがある。そういったトラウマを抱え、自分が持っていた柔らかさというものが失われていくと思うんです。そういった人が傷つくことを表現したキャラクターではないかと考えています。

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