「自分も(トリプル)アクセルを大分かかって安定させてきている。トゥルソワ選手も(4回転を)ぱっと跳べたように感じるかもしれないですが、結構前からしっかり、徐々に徐々に完成度を高めてきていると思う」
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ジャパンオープン(フリーのみを滑走。日本・北米・欧州の3チームが競う団体戦)の前日、練習後に取材を受けた紀平梨花への質問には、欧州チームの15歳、アレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)についてのものが多かった。紀平の言葉には、今季シニアに参戦し強力なライバルとなるであろうトゥルソワへの敬意と同時に、自らの歩みへの自信もにじんでいた。
初戦(オータム・クラシック)の前に痛めた左足の影響もあり、紀平はこの大会で挑戦したいとしていた4回転サルコウには結局挑まずに終わった。トリプルアクセルを2本成功させたものの、最後のジャンプ・トリプルループの着氷が乱れ、氷に手を着いてしまう。
「トリプルループのミスは、あまりよくないミスだった。まとめられたとは言えますが、ループですごく悔しい思いをしたので、そこはしっかりと改善できたらいい」
女子の1位は3種類の4回転を4本着氷し、160.53という高得点をたたき出したトゥルソワだった。一方、2位となった平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(ロシア)はトゥルソワとは違う種類の強さを発揮する。トリプルアクセルや4回転を跳ばなくても、前後に難しい動きを入れたジャンプをきっちりと成功させることで高い出来栄え点を引き出し、154.41を獲得。紀平の得点(144.76)を上回った。
トリプルアクセル、そして練習で成功している4回転サルコウばかりが注目されがちな紀平だが、その強さの要因はジャンプの大技だけではない。踊る能力が高くスケーティングも美しい紀平は、すべての面で優れたスケーターだ。
紀平が本来の力を発揮すれば、大技を武器にするトゥルソワ、完成度の高さを誇るザギトワと互角に競うことができるだろう。ただ怪我の影響もあり十分に追い込めなかったこのジャパンオープンでは4回転を入れられず、ミスもしたことでロシア勢の後塵を拝する結果となった。