メディカルラボ本部教務統括の可児良友さんは、私立大の志願者減の理由をこう分析します。
「19年度はセンターの実施日が前年よりも約1週間遅れたため、1月26日から2月2日まで、31日を除き、毎日複数の医学部が1次試験を行いました。この結果、入試日の重複が増えたのが、志願者減の大きな理由だと考えられます」
一方、志願倍率は13年度以降ずっと30倍以上で、19年度は34・2倍でした。
私立大では、繰り上げ合格者が多かったことも19年度入試の特徴のひとつです。「本校の場合、成績優秀な現役や1浪の男子が不安に感じたのか、例年より受験校数を増やし、例年以上に複数校から合格をもらいました。このことも、繰り上げ合格の多さにつながっていると思います」(メディカルラボの可児さん)
■センター最後の年は安全志向になる?
20年度はセンター最後の年です。このことは、受験生の心理にどのように働くのでしょうか。
宮辺校舎長、神本校舎長、可児さんは異口同音に、「浪人して大学入学共通テストを受けたくないという気持ちから、合格可能性が高い大学を
受験する『安全志向』になりそうだ」といいます。
「6月に実施した『第1回駿台全国模試』では、国公立大、私立大ともに、志願者数は前年比93%と減っています。22年度には医学部の募集定員が減る可能性もあります。安全志向の20年は逆にチャンスだと考えて、コツコツと勉強を続けてください」(駿台の宮辺校舎長)
河合塾の神本校舎長も、受験生にエールを送ります。
「医学部受験をあきらめて、歯学部、薬学部、看護学部などに進んだ後、医学部を再受験する人も少なくありません。07年には医学部の定員は7625人でした。そのころと比べると、入りやすくなっています。安全志向に走らず、医学部志望を最後まで貫いてほしいですね」(河合塾の神本校舎長)
メディカルラボの可児さんも、「大学入学共通テストは難しくなりますから、浪人生に有利な出題ともいえます。だから、たとえ浪人したとしても、翌年のほうがチャンスだと考え、医学部志望なら最後まであきらめないでほしい」と話します。