■得点は「トライ」と「ゴール」

 ラグビーは「陣取りゲーム」。15人対15人の選手で敵と味方の陣地を奪い合う。サッカーのように攻守の入れ替わりは激しくないが、チームが一丸となって徐々に相手の陣地に攻め上がり、守るときは相手チームを押し返す。ボールを持った先頭のラインがどう動いているのかに注目しよう。

 陣地の最終地点にあるゴールラインを越えてボールを押さえ込むとトライ(5点)が成立する。トライが成立すると、ゴールキックのチャンスが得られ、成功すると追加得点(コンバージョン、2点)となる。「H」の形をしたゴールポストの間のクロスバーを越えれば成功だ。

 そのほか、相手の反則で得たペナルティーキックでも得点できる(ペナルティーゴール、3点)。また、プレー中にボールを一度ワンバウンドさせてからキックしてゴールポストの上を越えるとドロップゴール(3点)となる。

 2015年のW杯では、日本代表チームが複数のゴール方法を戦略的に選択して勝利をおさめた。優勝候補の南アフリカ戦、試合終了間際に3点負けている状態で反則を得た日本は、「ペナルティキック」「スクラム」「ラインアウト」の3つの選択肢があった。体格の大きい相手チームのことを考えると、ここは「ペナルティキック」で3点を得て同点にし、引き分けで試合終了になると多くの人が思ったはずだ。ラグビーでは、監督は観客席から試合を見て選手交代以外の指示を出すことはあまりないが、日本代表のエディ・ジョーンズ監督(当時)はペナルティーキックを選択するよう指示を出したという。

 ところが、選手達はスクラムを選んだ。あくまで「勝利」にこだわったのだ。ラグビーでは、監督の指示よりも選手の自主性が尊重される。試合再開後、日本は見事にトライを決めて逆転。日本のラグビーを世界に認めさせた歴史的な勝利となった。

■試合の流れを差配する「アドバンテージ」

 続いて試合を観戦する時のポイントを紹介しよう。

 反則があっても、反則を受けた側がそのままプレーを続けた方が有利だとレフェリーが判断した場合「アドバンテージ」で試合が続行される。この場合、反則を受けた側が攻める途中でボールを落とすなどの反則をしてしまっても、相手側にボールは渡らない。試合中、反則をしたチームがボールを持って試合再開した場合は、アドバンテージが適用されていなかったかを確認しよう。

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試合開始後の最初のポイント