今回の地震では、いろいろなことを考えさせられています。
東北地方の被災地の方々も心配です。
福島第1原発の事故は、東北や関東だけでなく、日本全体の問題になっています。
まあ、こんなこと、僕が今さら言うまでもなく、みなさんも同じ心境だとは思います。
今、こういう場で何を書けばいいのか、正直、困惑してしまいます。
先日のことです。
ある若い役者と話をしました。
彼は、若い層にかなりの人気がある役者です。今回の災害に際して、自分のブログでも何かを書きたい。でも書けないと悩んでいたのです。
今、被災地で肉親を失った方がいる、孤立して食べ物もなくなっている方もいる。そんな人達がいることを知った以上、簡単に「がんばって」なんて言葉は吐けない。書くべき言葉が見つからない。
「でも、このまま黙っていることも辛いんです」
彼の言葉はとても誠実なものでした。
確かに彼の言う通りです。
本当に自分たちの無力さを感じる。
これからどうなるのか、自分自身も不安を感じる。
「でも」と、僕は言いました。
「考え方を変えてみようよ。君のブログを読む人は、少なくとも電気が通っていてパソコンが使えるか、携帯が生きている人だ。そういう状況で、しかも君の言葉を読みたいと思って、自らアクセスしてくれる人達だ。君の言葉を欲してくれている人達に、君が今思っていることを届けることは、決してうわべだけのことじゃないと思うよ」
言いながら、その言葉は自分にも帰ってきました。
言葉は一方通行じゃない。読みたい、聞きたいという受け取る側の行動があって初めて相手に届くのです。
その行動に対しての責任を持つ。
それが言葉を発する者が肝に据えなければならないことなのだろうなと、彼に話をしながら自分のこととしても考えていました。
数日後、彼のブログが更新されました。
彼らしい言葉で、彼の想いが書かれていたのでほっとしました。
先週発売の「AERA」の表紙を見た時、僕も「なぜ?」と思いました。
今の不安な世間に発信するのに、こういうトーンでいいのだろうかと思いました。
それに関しては、編集長からの言葉が出ていますので、僕はそれを受け取りました。
そして次号からの記事に期待しています。
こんな時だからこそ、読者の「聞きたい、読みたい」という行動に対しての責任を背負った報道をしてくれることを願っています。