●関西
 医学部人気が高い関西では、国公立大トップ10に入った灘(兵庫)、洛南(京都)、甲陽学院(兵庫)、東大寺学園(奈良)をはじめ、10校がトップ40にランクイン。2位の灘は、最難関の東大理三に21人、京大医学部に26人、阪大医学部に10人が合格し、難関大に強いのが特徴です。

「医学部を目指す生徒が多く、今春は理系のほぼ半数が医学部志望。従来は東大や京大を目指す生徒が多かったのですが、最近は、臨床医志望なら関西の国公立大を目指す生徒も増えています」(和田孫博校長)
 
 将来の進路を視野を広げて考えることができるように、中2~高2対象の土曜講座を年6回実施しています。
 
 3位は洛南。高2の夏は全員、高3の夏は希望者に6泊7日の高野山合宿を、高3の冬は自主学習トレーニング合宿とセンター講習会を実施。

「2006年の共学化で、さらに医学部志望者が増えました。志望者の約4割が女子です。面談や保護者会なども多く、面倒見のいい学校だと思います」(渉外部の杉山浩之教諭)
 
 6位の甲陽学院は卒業生数が206人と少ないですが、東大理三1人、京大医学部6人を含む63人が合格しました。

「数年前は、文系に向いていそうな生徒まで医学部を志望する傾向がありましたが、最近はかなり文系志望が戻ってきました。理系の上位層でも、東大の理科一類や京大の理学部などを志望する生徒が多くなり、医学部一辺倒の傾向は変わってきたと感じています」(杉山恭史進学資料室長)

●中国・四国
 国公立大トップ40に愛光(愛媛)、広島大附、広島学院(広島)、高松(香川)、土佐(高知)の5校が入りました。
 
 9位の愛光は男子の約半数が寮生。全国から生徒が集まるため、全国の医学部の入試制度や入試問題を研究しています。

●九州・沖縄
 国公立大トップ40にラ・サール(鹿児島)、久留米大附設(福岡)など7校が入りました。
 
 国公立大5位のラ・サールでは、約4割の生徒が国公立大医学部を目指します。全国から成績優秀な生徒が集まり、約7割の生徒が入寮します。中学生の寮では集団自習の時間もあり、勉強の習慣が身につきます。

「中学生の寮は学年を交ぜた8人部屋なので、コミュニケーション能力、思いやりの気持ちなどが自然に備わります。高1と高2のときは個室で、高3になると下宿します」(谷口哲生副校長)
 
 7位の久留米大附設の今春の卒業生は、中学から女子が入学して、共学化された1期生です。

「コツコツと真面目に勉強する女子が入り、学年全体の雰囲気が変わったように思います。例年、約200人の生徒のうち3分の1ぐらいが医学部に進学。女子の医学部進学率は約5割です。今年は国公立大合格者57人のうち37人が現役です。現役合格できそうな国公立大を選ぶ生徒が多いため、数年前から現役合格の割合は年々高くなっています。国公立大医学部進学者の約4割の進学先は、九大を中心とした旧帝大です」(白水孝典教頭)

(文/庄村敦子)

※週刊朝日MOOK『医学部に入る2020』から抜粋

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