


台風15号が関東に上陸した9日以降、ツイッター上には被害に遭った人の助けを求める声や支援を呼びかける声が殺到している。
「段ボールとかの簡易ベッドが20台ほしい」
「トイレで水を流すためのバケツとひしゃくが15個ずつほしい」
千葉県の社会福祉法人「福祉楽団」の飯田大輔さんは、台風の直撃を受けて発生した停電の直後から、SNSなどを通じて支援物資を呼びかけた。
福祉楽団は、同県香取市で特別養護老人ホーム「杜の家くりもと」を運営している。台風が来る前までの入居者は83人だったが、被災後に近隣に住む要介護者や避難施設では生活できない高齢者ら17人を受け入れ、現在も24時間体制で介護している。すでに施設の定員はいっぱいで、これ以上は要請があっても受け入れられないという。
しかも、台風通過から2日経っても状況は改善していない。食糧や水、燃料などはスタッフが交代で被害が少ない地域に買い出しに行って対応しているが、肝心のインフラ整備が思うように進んでいない。
追い打ちをかけたのが、台風通過後の急激な気温の上昇だ。香取市の10日の最高気温は33度を記録、11日も30度を超えた。頼みの綱だった大型の発電装置はオーバヒート。小さな発電機を4台駆使して最低限の電源を確保しているが、冷房は使えない。「災害弱者」が集まる高齢者福祉施設にすら、支援が遅れているのが現状だ。
夜になって気温が少し下がっても、蒸し暑さは残ったまま。スタッフたちは汗をぬぐいながら、二人一組でお互いにうちわをあおぎ、暑さをまぎらわせている。スタッフの一人は「入居者も私たちも、昨日より確実に疲れている」と話す。
施設ではすでに8人が熱中症の症状を訴え、うち2人が病院に救急搬送された。高齢者の熱中症は命に関わる。飯田さんは「このまま停電が続けば死者が出る」と焦りを隠せない。
気象庁によると、12日以降は秋雨前線の影響で最高気温は30度を下回るなど、暑さは和らぐ見込み。しかし同庁の担当者は「引き続き熱中症に注意してほしい」と呼びかけている。