格闘一筋の人生を、「好きな生き方をしてきたから、どうなっても悔いはない」と振り返っていた天龍源一郎さん。「独占告白(1)」では、70歳を目前に控えた今年、3度の脳梗塞からカムバックしていたこと、そして「たくさんの言霊を残したい」という気持ちに至るまでの葛藤を、初めて告白してくれました。後編では、「いちばんキツかった」という3度目の入院から現在の心境までを、包み隠さず語ります。
【写真】「まだまだ人生を謳歌するよ」インタビューに答える天龍源一郎さん
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1度目の入院のときは本名もうまく書けない有様だったし、2回目も、みんなに助けられたという思いや、「万が一何か起きたら」という自覚もあって、おとなしく医師に従っていた。最悪だったのは、6月に入ってすぐの3回目。あの1週間は、さすがに長かった。
この日は仕事帰りに、少し具合が悪くて病院に寄ったんだ。そうしたら、「脳梗塞の症状は出ていませんが、具合も悪そうだし念のため検査入院しましょう」って言われて。このときばかりは、「症状が出ていないなら帰る!」って暴れちゃった。娘は、「前の2回と態度が真逆じゃない。なんて傲慢な人なの」ってあきれてたね(笑)。
脳外科や専門の病院のケアが手厚いということは理解できるけど、いまだに病院なんて慣れないよ。気晴らしに音楽も聴けないし、ただじっとしているだけ。「動いちゃだめ」「トイレは看護師についてもらって」とか制約も厳しいし、夜の9時には電気が消えちゃうし。まあ、競馬中継は見てたけど(笑)。
それと、脳梗塞の入院で閉口したのが、点滴を打ち続けること。どこに行くにも点滴を引きずってる。他の重篤な患者さんの姿を見れば、「生意気なことは言っていられないな」とは思うけれど、これがいちばん厄介だった。
3度の入院を経てまた平穏な日々に戻ったけれど、生活は本当に変わった。今はトレーニングも控えているし、間食も減った。脳梗塞は、「一度発症したら、ずっと注意を払う必要がある病気」なんだって。それで血流を良くする薬を生涯飲み続けることになった。コーラ1杯すら飲めない、あんな入院中のストレスをまた味わうことを考えたら、退院してから自分を律した生活を送ることなんて、たやすいもんだ(笑)。