この積極性が大きく作用し、芸歴4カ月弱でドラマ出演という大きな仕事にもつながった。
実は、ドラマ出演の第一歩には筆者も関わっていたのだが、7月15日に「ノーサイド・ゲーム」の関係者やラグビー関係者、若手芸人らで筆者行きつけの焼肉店で食事をする機会があった。そこで「ノーサイド・ゲーム」に多くの元ラグビー選手が出ている話になり、しんやにも「何かしら、縁が繋がって出られたらいいのに」と水が向けられる展開になった。
あくまでも酒飲み話として盛り上がり、その日の会食は終了したが、帰宅してしんやは何かしら糸口がないかと調べ、同作のエキストラ募集の告知を見つけていた。
7月24日、大阪から夜行バスで千葉に向かい、ラグビーの試合のシーンで観客席に座るエキストラの一員として撮影に参加した。
一応、それだけでもドラマに関わったことにはなるので、芸人としての“ネタ作り”としては及第点ともいえるが、そこで止まらず、さらに前に進もうとした。
「このまま帰ったのでは夜行バスで行った値打ちがないと思いまして。スタッフさんにうかがったんです。『自分はラグビー芸人をしてまして、次の現場にうかがってもよろしいですか?』と」
唐突な申し出だったが、熱意が伝わり、選手役の俳優たちが乗るバスに同乗して次の現場に行くことが許された。見慣れない顔が車内にあるので、当然、しんやに注目が集まる。そこで自己紹介とともにラグビーネタを披露し、バスが次の撮影現場に着くまでに、すっかり打ち解けることができた。
現場に用意されていたケータリング(出演者、スタッフ用の食事)を一緒に食べようと俳優たちに誘われ、同じテーブルについていたら、そこでさらに次の出会いがあった。
「ドラマの監督さんと主演の大泉洋さんがお越しになったんです。もう『ここしかない!』と根性を入れて、お二人にご挨拶をしました。大泉さんから『ネタとかあるの?』と言われたのでさせてもらったら、これもありがたい話、良い反応をいただきまして。さらに『もう行くしかない!』と覚悟を決めて、監督に『ドラマに出してもらえませんでしょうか?』と直談判したんです。じゃ『東京に住める?』と聞かれまして、これは“宿題”をもらったと思って、すぐに大阪に戻って吉本に相談しました」