2年後の冬には、センター試験に代わる「大学入学共通テスト」が導入されるなど、大学入試は大きく変わる。現行の試験制度最後の入試となる来年の入試では、浪人を避けようと受験生の安全志向が加速するとみられている。そんななか、駿台教育研究所の石原賢一さんは、「世の中の動きは気にせず第1志望にこだわるのがいい」とアドバイスする。AERAMOOK『就職力で選ぶ大学2020』(朝日新聞出版)から抜粋してお届けする。
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果たして2020年の入試をうまく乗り切れるのか、不安でいっぱいの受験生や保護者は少なくないはずだが、「20年は浪人生も少ないので競争は緩いと思う」と元気が出るエールを送るのは、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんだ。
「19年は、弱気な出願が目立った。中堅以下の大学で不合格が多かったのですが、こうした大学はAOや推薦で多数を入学させたので、そもそも一般入試の枠が少なかったのです。そこに志願者が殺到したので厳しい結果になった。不合格になった人は浪人を選択せずに専門学校に進学した者も多く、20年入試は浪人生が少ない。18歳人口も減るので、基本的に入試の門戸は広いのです。20年も中堅大学に受験者が集まると想定されるので、逆にMARCHや関関同立あたりは狙い目になってきますよね」
だが、20年入試の翌年はセンター試験にかわって「大学入学共通テスト」が導入される。浪人を避ける安全志向が加速すると思われるのだが……。
「大学入学共通テストは、21年はあくまでもセンター試験のマイナーチェンジと考えてください。だから、あまり意識過剰にならず受験するのが正解だと思います。入試の変化はこれまでにもありました。共通1次が始まった年、センター試験が始まった年、英語にリスニングが導入された年などに、現役合格率が浪人に比べて極端に高くなった、ということは一度としてなく、浪人に特別なハンデがつくことはありません。一方、20年は共通テストの前年だから変化がないとよくいわれますが、例年どおりの変化はあるはず。要するに、20年は特別な年ではないということです」(石原さん)
入試状況は基本的に変わらないとしても、時代は大きく変化しつつある。そこで狙い目の学部を教えてもらった。
「やはりICT系。特に情報セキュリティーの専門家が世界的に足りません。文理双方からめざせるデータサイエンス系も人気が急上昇しています。国際系も当分需要はなくならないはず。いずれにしても、これからは予想がつかない時代が到来するし、一生学び続けなければならない。大学はその学び方を学ぶところだと意識して選んでほしいですね」(同)
(文/笠木恵司)
※AERAMOOK『就職力で選ぶ大学2020』から抜粋