ほかにも、駅から歩いて行ける観光スポットの案内の事例を見ておこう。
上野公園には動物園や美術館、博物館、それにコンサートホールの東京文化会館や奏楽堂といった文化施設が数多く点在するため、目的の施設を探している外国人の姿を近辺の改札付近でよく見かける。ぜひ積極的に声をかけて案内してみよう。上野駅構内の場合、公園口は「Park Gate」などと直訳するとかえって混乱するので、そのまま「Koenguchi」として、出口の意味である「Exit」をつけたほうが分かりやすい。
“Excuse me, but how can I get to Ueno Zoo?”
「すみません、上野動物園への行き方を教えてください」
“You will go out of Koenguchi Exit and go straight west.”
「公園口を出て、まっすぐ西に歩けばいいですよ」
“How about Tokyo National Museum?”
「東京国立博物館はどうでしょう?」
“You will also go out of Koenguchi Exit and go straight west. At the second corner turn right. You can see a big fountain and behind it you can find Tokyo National Museum.”
「同じく公園口を出て、まっすぐ西へ向かい、二つ目の角を右に曲がります。大きな噴水が見えますので、その背後にある建物が東京国立博物館となります」
「角」は「corner」で「二つ目の角」は「the second corner」。「右折」は「turn right」で、左折は「turn left」。目印があれば、それも伝えておきたい。ここでは大きな噴水が目印なので、「You can see a big fountain」。「~がある」は、「There is(are)~」と直訳しそうだが、「You can see~」のほうが自然な表現だ。
また、ここ数年は東京ばかりではなく、地方の観光地にも数多くの外国人が訪れるようになった。例えば、姫路駅にて。
“Excuse me, can you tell me the way to Himeji Castle?”
「すみません、姫路城への行き方を教えてください」
“Go straight north along the wide street.”
「広い通り沿いをまっすぐ北に進んでください」
“How long does it take from here?”
「どれくらいかかりますか?」
“It takes about 20 minutes on foot. You can take a taxi if you hurry.”
「歩いて20分くらいです。急ぐならタクシーを使いましょう」
「かかる」は「It takes(時間)」と覚えておこう。「徒歩で」は「on foot」あるいは「if you can walk」。乗り物を使うなら「by bus」「by train」「by taxi」のように「by」を使う。
もちろん、地図があれば経路を指で示すと分かりやすい。言葉と組み合わせて教えてあげるとより親切だ。
○プロフィール
野田 隆(のだ・たかし)/1952年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大大学院法学研究科修了。長年、都立高校で英語を教えていたが、2010年に早期退職後、旅行作家として活動。おもに国内外の鉄道紀行を手掛ける。著書に『シニア鉄道旅のすすめ』(平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)など多数。8月末に『今すぐ出かけたくなる魅惑の鉄道旅』(産業編集センター)を刊行予定。