同じように、子供に対する言動にも気をつけないといけません。

 娘の学校でも、校長や教師、カウンセラーから、当たり前のように「体罰どころか子供を萎縮させるような言動は虐待にあたる」と指摘されます。幼児を一人で家に残すことも当然許されません。

 もちろん、子供や組織の生存が危ぶまれる事態といったような例外はありますが、それでも普段から物言いは気を付けないといけません。

 べき論ではなく、すでにそういう時代に入ったのです。

 パワハラ大国日本も、外国人や女性や子供の活躍をお願いしないと社会が成り立たなくなっています。当然、そういう人々に対して常にリスペクトを持たないといけません。

 そもそも相手の気持ちを害したら、相手の行動を変えることはできません。こういうときこそ、真のインテリジェンスが必要になります。

 どう相手の気持ちを萎縮させたり気分を害させたりすることなく、望ましい行動を起こしてもらうか? 打ち解けていい人間関係を築いていくか?

 相手についキツい言葉を投げそうになったら、この2つの問いを自分の中で思い起こしてから、発言するようにしてみましょう。私自身も、戒めとして日々自分に言い聞かせています。

 次に心しておきたいのは、「壁に耳あり障子に目あり」です。

 仕事関係はもちろん、家族間でさえ会話は録音され、問題カ所だけ抜き取られ、タブロイドに売られるかもしれません。特に立場のある方は格好の餌食になるので、常に録音・録画をされている覚悟で発言しないといけないのです。サウナの中でも安心できません。

 過激な発言をしたとして、熱血とか情熱とか愛とかは言い訳になりません。

 ある大物政治家は、会食すると「うーん」と「ほう」といった言葉しか発しません。全くさすがだと思います。その「うーん」と「ほう」の感じで、肝心の話は伝わっているとわかる一方、メモを取ろうが録音しようが、「うーん」と「ほう」ばかり。軽口もサービスジョークもないのですが、その対応の完璧さには感動すらします。

 繰り返しますが、私は今でも失敗だらけで、他人様のことは全く言える立場にはありません。しかし、こういう時代に入っていることはじゅうじゅう承知しています。

 気を遣うことで、メールも長くなり表現も間接的になりがちですが、そこにこそ頭脳を使いましょう。いい思考訓練だと思って、老若男女問わずリスペクトを持って常に行動発言しましょう。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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