■週刊誌で義母・平野レミとも“共演”

 その後、「江~」のイメージを覆すほどの作品には出会えないまま、16年にロックバンド・トライセラトップスの和田唱(43)と結婚。しかし、「この結婚が彼女の女優人生を再び照らし始めるはず」と言うのは、民放キー局のプロデューサーだ。

「上野さんが初めて買ったCDというのがトライセラトップスの『if』という曲だったそうです。14年の年末にたまたまトライセラトップスのライブに行き、そこで初めて和田さんと会った。最初はトライセラのメンバーも参加するグループLINEから交際が始まったようです。夫の和田さんが非常に理解のある人で、上野さんが幼いときに母親を亡くしているから、『じゃあ和田家で彼女が味わってこなかったかもしれない家族の温かみを教えてあげよう』と、家族ぐるみの付き合いを大切にしているそうです。和田さんのご両親はイラストレーターでエッセイストの和田誠さんと料理研究家の平野レミさんですからね。上野さんがレミさんと『週刊文春』で料理グラビアをやっていたときは驚きました。結婚後の上野さんは本当に笑顔がナチュラルになっていて、女優として深みが増したと思います。昨年放送された『グッド・ドクター』も天才女優の復活といった感じで、結婚がいい効果を生んでいるのではと思いました」

 TVウォッチャーの中村裕一氏も、上野の今後に大きな期待を寄せるひとりだ。

「復活のきっかけとなったとも言える『グッド・ドクター』は13年に韓国で大ヒットし、アメリカでもリメイクされた医療ドラマ。本作で彼女は自閉症スペクトラムとサヴァン症候群を抱えた主人公を温かく見守る指導医を演じました。生命をテーマに扱った非常にデリケートな作品でしたが、柔らかい表情のなかにも芯の強さをしっかり感じさせる見事な演技を披露して各メディアで絶賛されるなど、俳優としてのポテンシャルの高さを改めて示してくれたと言えます。彼女のキャリアを語る際、どうしても『のだめ~』ばかりがクローズアップされてしまいがちですけど、ボーイッシュなルックスとともに性同一性障害を持つ女性を演じたドラマ『ラスト・フレンズ』(08年)での、苦悩と切なさをまとった演技も素晴らしいものでした。ピュアでハイテンションな彼女も確かに好きですが、今ならアラサーの彼女ならではの落ち着いた芝居をじっくり見てみたいと思う人はきっと多いのではないでしょうか。ここからの巻き返しに大いに期待したいですね」

 この夏、天才女優の真価が問われる季節となることは間違いなさそうだ。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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