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理不尽な存在との付き合い方を描いた『頭に来てもアホとは戦うな!』がシリーズ75万部を突破した。悩める人々を救ってきたこのベストセラーが、知念侑李(Hey! Say! JUMP)主演でドラマ化され、好評放送中だ。
ドラマ化を記念して、原案者の田村耕太郎と、脚本を担当する吹原幸太が、放送に先駆け、各回のエピソードに登場するアホの特徴や、かわし方について議論する。今回は「お節介アホ」について。
■善意からの困ったアドバイスは拒絶せずに受け流せ
吹原:今回、登場するのは、お節介で何にでもしゃしゃり出てこようとするアホ。主人公・小太郎の実家の寿司屋を心配して、勝手に経営方針を考え、迷走させる困った人物です。
アドバイスをくれることはすばらしいと思うのですが、それがおしつけがましいとお節介になりますし、目上の人間からそれをされると、きっぱり断ることができません。あるいは、相手に悪意がないとすると、無下に扱うのも気が引けてしまいます。
田村:わかります。私は飛行機でよく体験します。眠くてぼーっとしていると、お腹が空いているように見えるんでしょうか。CAさんがたくさんの食事を持ってきてくれるんです(笑)。純粋に思いやりで持ってきてくれていると思うので、つい、いただいてしまいます。
吹原:親とかもそんな感じですよね。中学生ぐらいの頃、よくとんちんかんなセンスの服を買ってきてくれたのですが、嫌がらせではなく善意なんですよね。
田村:行政サービスにも、それがいえます。日本に住んでいた時に妻が出産したのですが、産後のサポートに行政がボランティアを派遣して家事をしてくれるサービスがありました。そういう人が、ダメだしをしてくるわけですよね。「もっとここをきれいにしないと」って。清潔な暮らしをしてほしい善意のアドバイスだと思いますが、産後の不安定な精神状態にはお節介に感じたようでした。
吹原:そういう人と付き合わなければならない時に、どうすればいいと思いますか。僕は、なるべくこちらの興味を逸らす方向に誘導しています。
田村:それはムダな戦いを発生させない、正しい方法だと思います。でも、なかには人の話をきかないタイプの人もいます。こっちがどんなにやんわり断ってもまったく我関せずで、自分のことを言われていると気がつきません。
吹原:最強ですね(笑)。
田村:そういう場合には、ハッキリ言ったほうがいい場合もあります。
吹原:そうかもしれませんね(笑)。
田村:ただ、拒絶によって、相手が逆ギレする可能性もあって、そうなると事態を悪化させます。それを避けるためには、相手をよく観察してどんな人なのかを見分けましょう。
■横暴なお節介に困ったら自滅を待つのも一手
吹原:じつは、仕事の場では、お節介な人にあまり困ることがないんですよ。
田村:なぜでしょうか。
吹原:脚本家の仕事って、書記のような役割を果たすこともあるんです。そういう現場では、みんなで出し合ったアイデアを、形にするのが僕の任務です。だから、アイデアの数は多ければ多いほどがいいのです。多少は出過ぎた発言でも、僕にとってはありがたいものだからです。
田村:すばらしい心がけですね。逆に、自分のアイデアが使われていないと不満の声はでないのでしょうか。
吹原:そのために、できるだけクオリティを上げて、これだけ詰め込んだら、自分のアイデアが入らないのも仕方ないよねと思ってもらえるようにがんばっています。まとめるのが仕事というわけでもないですし、会議では、最終的にイイものを書くための種をもらっているイメージです。
田村:今、私がいる世界は数字で結果が出る世界にいるので、成果を出せば環境をコントロールしやすい状況です。しかし、以前は情実が支配する世界にいたこともあって、何の根拠もなく職場では、自分がリードすればビジネスがうまくいくと勘違いして、見当違いの方法を強要しようとする人もいました。絶対に関わりたくないタイプの人です。
吹原:どう対処したのですか?
田村:ひたすら耐えました。ほどほどに付き合ってどうにか取りなしながら、信頼できて引き上げてくれる人を見つけようとしました。その試みはうまくいって、フェイドアウトすることができました。
吹原:じつはクリエイティブの世界では、そういう人って意外と少ないんですよ。作品をよくしようと口うるさい人は評価されますけれど、ただ自分の思い通りにしたいという人は、自然と淘汰されているように思えます。
田村:いい現場ですね。視聴率などの結果が評価されるからでしょうか。
吹原:そういう側面もなくはありませんが、副次的なものだと思います。いちばん大事なのは一緒に気持ちよく仕事をできる人ということなんでしょうね。
田村:うらやましいですね。
吹原:結局、自分でコントロールしようとするアホは恐れるに足りません。疎む人間の方が多数派なのですから。だから恐れるに足りません。
田村:おっしゃるとおりです。そういう人は、すべてを自分で抱えようとして疲弊していきます。それを待っていてもいいかもしれませんね。