歯の清掃や歯みがき指導を担う歯科衛生士さん。歯科医師よりも長い時間、お世話になる場合もあります。こうした歯科衛生士のスキルは人により差があるのでしょうか? 歯科衛生士の能力が高ければ、その歯科医院の院長の能力も高いのでしょうか? 著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか? 聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中の歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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「雇っている歯科衛生士の能力は、院長の歯科医師の能力に比例すると思いますか?」
朝日新聞出版が2017年に刊行した週刊朝日MOOK 「いい歯医者2017」に掲載された「信頼できる歯科医師の条件アンケート(歯科医師135人が対象)」の質問事項の一つです。
この質問に対する回答では、90%以上が「比例すると思う」(47%)、または「どちらかというと、比例すると思う」(47%)と回答しました。
私も、「比例する」と強く思います。
歯科衛生士は歯科治療のうち、主に歯のクリーニングや歯みがき指導を担当します。簡単なようですが、これらの技術には経験や勉強を積み重ねたかどうかで、差が出てしまいます。つまり、歯科衛生士の能力には差があります。
能力の差は直接、治療に反映します。例えば歯周病の治療を徹底し、再発をできるだけさせないようにしようと思ったら、歯周病菌増殖の引き金となるプラーク、歯石を取り残してはいけません。
また、自宅でもできるだけプラークの磨き残しがないように、患者さんの歯並びや歯みがきの癖などをみながら、ブラッシング指導をおこなう必要があります。
真剣に歯周病治療に取り組んでいる歯科医院では、こうした処置も徹底してやりたいのです。そしてそのために、できるだけスキルの高い歯科衛生士を雇いたいと考えるのは当然です。
また、そうした歯科医院にはさまざまな勉強会や講習会、あるいは学会に参加できるような仕組みがあり、自分の技術をさらに高めることができます。