どちらにも共通していることがある。たくあんがついてくることだ。その味は、韓国のたくあんに近い。色は黄色。パリッとした歯ごたえも同じだ。これも日本が伝えたものだった。

 本家の日本では、この黄色いたくあんは廃れてしまった。色が消え、人によっては表面がふやけたように漬かっているたくあんを好む。

 漬物は国を離れるとサラダ化して生き延びていく? そう思ったのはウズベキスタンのタシケント。チョルスー・バザール。中央アジアには多くの韓国系の人が住んでいる。彼らがつくるキムチを、中央アジアの人たちは好んで食べる。しかし中央アジアのキムチは、本家のキムチとはかなり違う。ニンジンやキュウリなどの浅漬けで、それを千切りに、和えて食べる。さっぱりとしたサラダ感覚なのだ。

 韓国と台湾のたくあん、そしてウズベキスタンのキムチ。漬物の処世術の所産に映る。

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下川裕治

下川裕治

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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