東京・関東一高出身の楽天・オコエ瑠偉からは、自宅がある昭島市に近い球場の記憶が出てきた。
「プロに入ってから使った印象しかない。まぁ、自分が育った神奈川には保土ヶ谷球場がある。横浜スタジアムとともに、そっちの思い出が強過ぎる」
神奈川・桐光学園出身の楽天・松井裕樹。全国的に有名な地元球場のインパクトが強過ぎるのだろう。
ご当地、埼玉出身選手はどうだろう。ソフトバンク・上林誠知は語る。
「高校は仙台なので、大宮は試合よりスタンドから見た記憶が強い。小学生の頃とか高校野球を見た。そういう意味では埼玉高校野球の聖地かもしれないですね」
ーー大投手にとって忘れられない大宮球場。
大宮球場に強い想いを抱いているのは、埼玉・市立川口高出身、元巨人の大エース斎藤雅樹氏。
「市営じゃなくて県営の方、大きい方の大宮球場だよね」
大宮には県営と市営の2つの球場が存在する。どちらも高校野球で使われるため、その確認から話は始まった。
「プロ1年目、上手から横手に本格的に変えて投げたのが、大宮での二軍戦。夏前くらいに変えて、凱旋試合ということで首脳陣の指示もあり、大宮に向けて調整させられた。だから僕のプロ生活原点とも言える」
83年9月10日のイースタン・対西武戦、8回を投げ4安打、自責点1に抑えたこの試合でサイドスローに自信を持ったという。ここから沢村賞3度、11連続完投勝利などを記録する大投手になっていった、と言うのも過言ではないだろう。
「高校時代には場外本塁打も打った。とにかく球場が狭かったイメージがある。特に中堅が狭かった」
84年8月28日の横浜大洋戦(後楽園)では、一軍でサヨナラ安打を放った斎藤。高校時代から自信を持っていた打撃のことも覚えている。ちなみに80年代から行われた球場改修前までは、公称で両翼90M、中堅105Mであった。
ーーうますぎて、翔んでる、大宮球場。
「うまい、うますぎる」
埼玉のローカルフード、十万石まんじゅう、のCMだ。かつてAKB48在籍時、埼玉出身の 小嶋陽菜さんがライブ時に盛り上げるネタにしていたセリフ。しかし埼玉出身者以外は誰も知らずに、リアクションに困ってしまう。大宮球場に感じる旨みや良さは、そういったある種、自虐的とも言えるノリなのかもしれない。