――由里と自分自身を比べてどうですか。
若月:見習いたい部分があります。それは、由里ちゃんの強引さですね。あるエピソードで、小太郎くんをお祝いに連れ出すのですが、そのさいに彼の予定を確認せずに引っ張っていくんですよ。それで、結果的に、小太郎くんも由里ちゃんもハッピーになりました。もし、自分が由里ちゃんと同じ立場だったら、「ほかの人に誘われているかな?」とか「時間がないかな?」と勝手に想像してしまって、機会を逃してしまうかな。多少の強引も必要だと勉強になりました。
――若月さんは遠慮がちなタイプなんですね。
若月:相手のことをすぐに気にしてしまいますね。「誘ったら迷惑かな」とか、「こんなことを聞いたら、変に思われるかな」ってよく考えてしまいます。
――相手のことを尊重する正確は、昔からでしょうか?
若月:昔は由里ちゃんみたいに強引なところがあったんです。でも、ある時から、自分以外の人がうれしがることに喜びを覚えるようになりました。そのきっかけのひとつが姉です。彼女は、甘え上手で、なにかと人にやってもらおうとするんです。「カバンを持って~」とか(笑)。そのうちに、私が姉の意を汲むポジションをとることで、親が中庸の立場で楽をできるかなと考えるようになりました。
――「アホとは戦うな!」で描かれている、アホと戦わない方法を実践しているようです!
若月:そうかもしれません。私は相手の性格にあわせて行動を決めているんです。相手をよく観察して、どちらかといえば優柔不断な人だと思ったら選択肢を提示したり、反対に自己主張する人なら選択を委ねたりと柔軟に接し方を変えています。
――原案本の中で、著者の田村さんも観察の大切を強調していました。若月さんは無意識のうちに「戦わない」道を選んでいるのですね。ちなみに、今までアホに困ったことはありますか。
若月:そうかもしれませんね。だから、アホに困った覚えはないです。どちらかというと、アホに癒されています。