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 東京のイスがすべて破壊される? なんとも物騒な話だが、この情報の発信元がかつて“渋谷系の王子さま”と名をはせたオザケンこと小沢健二だというから興味をひかれる。4月17日、小沢が自身のツイッターでこつぶやいたのだ。

<富裕国の中で、日本人は驚異的に体重が軽いのです。例えば米国人の平均体重は、日本人より23kg重い。23kg!で、日本社会は軽い体用にデザインされていて、五輪へインフラ強化というけれど、国民を挙げて早急に「イス強化」を進めないと、2020年に日本中でイスが壊れます。絶対に。>

 なんと、東京五輪へ向けて日本の「イス強化」を熱く訴えているではないか。これには往年の“仔ちゃん”たちも気が気ではないだろう。果たしてオザケンが訴えていることは現実味がある話なのか? 検証をしてみることにした。

 インバウンドで多くの外国人が観光に訪れている東京。東京五輪開催時には、この数は大きくふくれあがり、公園や公共施設に設置されるベンチに外国人が腰を下ろすこともあるだろう。では、都が設置するイスやベンチに対荷物重量の規定はあるのだろうか。

「都立公園などに設置されているイスの対荷重量の基準はありません」(東京都建設局公園緑地部)

 なんと東京都ではイスの対荷重量の明確な数値基準はないという。つまり、体重の重い外国人が座ったら、バリン!と壊れてしまうようなイスも存在しているかもしれないということか。ならばオザケンの説もがぜん信憑性を帯びてくる。

 では、イスを製造しているメーカーはどうだろうか。国立競技場のスタンドベンチも手がけた「ベンチのナカムラ」として知られる中村製作所(千葉県松戸市)の担当者に聞いた。

「公共施設に設置されているイスはもともと大変丈夫に作られています。弊社でも、東京五輪に向けて対荷重量の強化といった特別な動きはありません」(企画営業課広報)

 もしかして取り越し苦労? オザケンの抱く危機感に、鈴木俊一五輪担当相や小池百合子都知事は、どんなラブリーな反応を見せるのだろうか。(AERA dot.編集部)