西洋医学では治せないような病気であっても、治療できるということで近年、漢方の関心が高まっています。漢方薬のとり入れ方など、漢方に関する疑問や悩みについて、週刊朝日ムック「家族ではじめる本格漢方2019」では、東邦大学医療センター大森病院東洋医学科准教授・診察部長の田中耕一郎医師に取材しました。Q&A形式で紹介します。
* * *
Q漢方薬の原料ってなに?
A自然界に存在する植物や動物、鉱物などでつくられます
漢方薬のほとんどは、生薬を何種類か組み合わせてできています。生薬の原料となるのは薬効のある植物や鉱物、貝殻、動物です。植物は根や茎、花など、さまざまな部位を乾燥させたものを使用します。鉱物は石膏(せっこう)、貝殻は牡蛎、動物はロバの皮である阿膠(あきょう)などがあります。
Q症状によって得意、不得意はある?
A検査で異常がなく西洋医学で治せない症状が得意です
倦怠感や冷え、慢性的な痛み、イライラなど、西洋医学では治療法がない症状に効果的です。検査で異常が見つからなくても漢方では原因をつきとめることで、治療が可能になります。
また、月経に関連した不調や更年期障害も漢方の得意とするところ。西洋医学ではホルモン剤で治療するのが一般的ですが、ホルモン剤に抵抗がある人もいます。漢方では女性ならではの不調を「血」のトラブルととらえて、治療することができます。
一方、がんや循環器疾患など、生命に関わり、標準治療が確立されている病気は、西洋医学が有効です。
Q煎じ薬とエキス製剤ってなに?
Aエキス製剤は手軽で便利な半面効果が弱まることも
漢方薬には、生薬を煮出して飲む「煎じ薬」と生薬から抽出したエキスを顆粒(かりゅう)や粉末状に加工した「エキス製剤」があります。エキス製剤は手軽で、持ち歩けるので便利です。ただし、エキス製剤にすることで、薬効が弱まってしまうこともあります。例えば薬効の一つである香りは、ほとんどなくなってしまいます。