逆に言えば、アメリカが、北朝鮮を攻撃したり、裏で動いて体制を崩壊させるようなことを絶対にしないという確信が持てれば、核もミサイルも必要なくなる。これが論理的帰結だ。

■「経済的損得勘定」で「信頼」までたどり着けるか

 上記のように考えると、今後の米朝交渉が成功する可能性はまだ十分にあると見るべきだが、その際、核・ミサイル廃棄には時間がかかることをよく理解することがカギとなる。

 これを理解すれば、北朝鮮が核とミサイルの開発を止めることを最低条件としつつ、その後は、体制保証と経済的利益について、米側が段階的譲歩を繰り返し、北朝鮮もそれに見合った形で段階的譲歩を重ね、それによって、徐々に相互の信頼関係を構築するしかないという結論になるだろう。

 逆にこれに反対するなら、それ以外の良い方法を示すことが必要だ。おそらく、戦争覚悟の単純圧力路線しかないということになるのではないだろうか。

 これまでのところ、両者の間の信頼を少しずつ高めるのに大きな役割を果たしてきたのが韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領だということも忘れてはならない。韓国にもまた、米朝間で戦争が起きたら最大の被害者になるのは自分たちだという危機感がある。その思いの切実さは、我々日本人には想像することもできないことなのではないだろうか。

■ 段階的相互譲歩作戦は日本にも大きな利益

 日本の好景気は戦後最長になったようだと政府は言っていたが、直近の景気動向指数によれば、景気後退局面に入ったのではないかという状況になっている。米中貿易戦争は一時的小康状態になる可能性は高いが、その本質は米中の覇権争いであり、抜本的解決は見込めない。一方、蜜月関係が演出されている日米間では、「TAG(物品貿易協定)」だと偽った日米通商交渉が、これから本格化し、安倍トランプ選挙互助会の暗黙の了解に従って、夏の参議院選挙後には、厳しい譲歩を迫られることになるだろう。自動車関税25%引き上げや為替介入条項という話が出て来るかもしれないし、世界貿易がさらに縮小する事態も十分にあり得る。

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