日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、子どもの食事の塩分について森田麻里子医師が「医見」します。
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子どもの食事を用意するとき、塩分は気になるところです。子どもは薄味に慣れさせたほうがいい、といいますよね。でも、いつまで薄味にしなければいけないのか、しょっぱいものを食べさせるのはほんの少しでもだめなのかなど、迷うことがあるのではないかと思います。今回は、子どもの食事の塩分について、解説します。
そもそも、塩分はどのくらいの量を摂らせてよいのか、ご存じでしょうか。まずはいくつかの基準をみてみましょう。
■WHOの推奨量
日本では、5カ月までの赤ちゃんは1日0.3グラム、6カ月から11カ月は1.5グラムが目安量とされています。これは、実際の摂取量の調査を元にした量です。それ以降は目標量として、生活習慣病予防のため、1日何グラム以下に抑えるとよいか、という量が示されています。1~2歳は3~3.5グラム、3~5歳は4~4.5グラムと増えていき、12歳以上で大人と同じ7~8グラムとなりますが、こちらは成人の目標量から算出された値です。
一方、WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、2歳以上の子どもの塩分量はエネルギー摂取量に対しての比で大人と同じになるようにする、とされています。なぜ2歳以上かというと、2歳前までに腎機能が大人と同等に成熟するからです。
WHOの推奨量は大人で1日5グラム以下です。そもそも、この量は日本の目標量である7~8グラムよりかなり少ないですし、日本人の実際の摂取量は9~10グラムですので、その約半分です。大人のエネルギー摂取量は2000~2600キロカロリー、2~5歳のエネルギー摂取量は900~1300キロカロリー程度なので、およそ大人の半分です。つまり、WHOの基準から考えると、2~5歳は1日2.5グラム程度に抑えるのが良いということになります。