日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、テレビやタブレットなどの乳幼児への影響について森田麻里子医師が「医見」します。
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テレビやタブレットを子どもに見せていいのかどうか、迷っている保護者の方も多いのではないでしょうか。
「テクノロジー企業のトップが、自分の子どもにはスクリーンを見せる時間をきっちり制限していた」という話や、「教育的な内容であれば大丈夫」「2歳までは見せてはいけない」などと、いろいろな意見があって何が正しいのか混乱してしまいます。実際の研究では、どんなことがわかっているのでしょうか?
■テレビっ子のほうが語彙力は高い!?
ワシントン大学の研究者たちは、1994年から2000年にかけて5~7歳の子どもを調査した結果を発表しています。それによると、6~7歳時点での読解力・語彙力テストや短期記憶のスコアは、3歳未満の時にテレビを見ていた時間が多ければ多いほどわずかに低下していましたが、語彙力については、3~5歳時点でのテレビ視聴時間が多いほど、わずかに上昇していました。
年齢によってテレビの影響に違いがあるのは、子どもたちの理解力が異なるからだと考えられています。実は、子どもが教育番組の意味をきちんと理解できるのは、2、3歳以降と言われているのです。
たとえば、2007年にコネチカット大学から発表された研究では、15~24カ月の子ども48人を対象に、テレビ番組を通して新しい言葉を教えることができるかが調べられました。すると、大人が目の前で実物を見せて教えた場合の正解率は67%、大人が物の名前を言うビデオを見せた場合は53%でしたが、教育番組を見せて教えた場合は40%でした。
まだ内容を理解できない年齢の子どもにとっては、たとえ教育的なプログラムであってもただの映像や音であり、教育的な効果はあまり期待できないようです。