

厚生労働省の統計不正で国会は大揺れだ。雇用保険などで、もらうべき金額をもらえなかった人が2000万人超という大事件に発展したのに加え、アベノミクスの評価に直結する労働者の給与に関する統計が信用できないということになったのだから、大騒ぎになっても当然だ。
過去の間違いだけならまだしも、不正発覚後も、隠蔽、お手盛り調査など、新たな「不正」と言われても仕方のない行為が重なって、厚労官僚への信頼は地に堕ちてしまった。これから先は、彼らが何を言おうと、国民の反応は、「きっとウソに違いない」「まだ何か隠しているだろう」「騙されてはいけない」というものになるのは必至だ。
一般に、官僚は「優秀」だと考えられている。また、官僚は「信頼できる」という評価が、少なくとも昔はあったし、今でも、企業よりは役所の方が信頼できるという評価をする向きも多い。だからこそ、例えば、水道事業の運営を役所から企業に委ねるというと、「反対」の大合唱という現象が起きるのだ。
一方、優秀で、ある程度信頼できるはずの官僚たちが、どうして今回のような統計不正や財務官僚の公文書改ざんなどという大スキャンダルを起こすのだろうか。それも、たまたまおかしな個人がやったということではなく、組織として暴走するのはどうしてなのか。
この頃、官僚とはどんな人たちなのかということをよく質問される。今回は、厚労省の統計不正問題をとおして、このことについてあらためて考えてみたい。
■官僚は本当に優秀か
官僚、とりわけ、キャリアと呼ばれる官僚たちは、一般に優秀だと言われる。では、「優秀」と言われる根拠は何か。その9割は、一流大学卒だということだろう。
確かに、キャリア官僚は東大をはじめ、一流と言われる大学卒であることが多い。しかし、一流大学を出た後、幹部になるまで30年以上役所で生活している。30年前に優秀だったから、今も優秀だという保証は全くない。