「マスカレード・ホテル」には、他にも「HERO」との共通点があった。仕事で相棒を組む女性と「同僚以上、恋人未満」な感じになることだ。
2011年放映の元祖「HERO」は、松たか子演じる検察事務官が相棒。木村と松の掛け合いがラブコメっぽいドキドキ感で、それがドラマの魅力になった。「マスカレード・ホテル」は、長澤まさみ演じるホテルウーマンが相棒。緊張感あるやりとりが続くが、そこは美男美女、ドキドキ感も醸し出す。最後は「恋人未満」を暗示させるシーンも用意され、めでたし、めでたし。
ではあるのだが、一つ気になったことが。新田刑事、一体、いくつなんだろう。
現実の木村、1972年生まれの46歳。長澤は87年生まれの31歳。画面の木村を見ていると、現実の長澤の年齢に近い設定だと思う。同年代の男女が、次第に信頼感を上げていくお話。そうわかるのだが、ちょっと苦しい。
「HERO」の松たか子は77年生まれで、木村とは5歳差だった。「恋人未満」にリアルさがあった。長澤とは15歳差。だから「おんなじぐらいの年ってことよね」と頭で確認しながら観る感じ。
別に構わないと言えば構わないが、少しつらいと言えばつらい。
木村が「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」で「何やってもキムタクって言われる」と語ったのは、案外この辺りのことを感じているということではないだろうか。(矢部万紀子)