文化的蓄積がないマスコミの人は、テレビしか見ないのでテレビが世界のすべてだと思っているのです。故郷に帰って、「俳優をやってる」と言うと、「なんのドラマだ? どこの局だ?」とすぐに問いつめ、「テレビに出ない俳優なんて俳優じゃねえ」と言い放つ田舎の親戚のオジサンと同じレベルですね。

 ……という話を書き出すと怒りで長くなるので、さておきます。エイ助さん、すみません。

 で、エイ助さんの質問です。「だいたい大学で4年間齧っただけの22歳が、プロの俳優なんて目指せるものでしょうか?」

 この質問に対しては、イエスでありノーです。

 プロの俳優になれるかどうかは誰にも分かりません。うまくなければプロになれませんが、うまいからと言って必ずプロになれるわけではありません。死に物狂いの努力をしなければプロになれませんが、死に物狂いの努力をしたからと言って必ずプロになれるわけではありません。

 どんな人と出会い、どんな作品と出会うかという運ももちろん左右します。

 僕も親戚から、「うちの子がプロの俳優になりたいと言ってる。どうしたらいい?」と、たまに聞かれます。が、「この道を通ったら、間違いなくプロになれる」という王道はありません。名前が知られている養成所に行ったからと言ってプロになれるとは限りませんし、逆に有名な養成所に入った安心感で気が緩めば、逆効果かもしれません。

 僕は養成所にも行かず、演劇系の大学にも行かず、劇団にも入らず、ただ自分で劇団を作ってここまできました。

 その当時だと、一番無謀な道、一番可能性のない道と言われた選択でした。

 この道が正解かどうかは、分かりません。同じ道を歩いた人もたくさんいましたが、結果はそれぞれに違いました。

 さて、エイ助さん。僕が答えられるのはここまでです。

 えっ? だから自分はどうしたらいいのか?

 息子さんが決めるのです。親が決めるのではありません。親ができることは、子供が集められない情報を集め、可能な限りの(またはエイ助さんが納得できる範囲の)資金援助をしてあげることぐらいです。

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも
次のページ
エイ助さんはどうすべきなのか?