こうした競争の結果、出だしに後れを取ったPS3擁するSCEは、2007年3月期の連結決算で2323億円、08年3月期の連結決算で1245億円の赤字を出し、債務超過に陥ってしまう。一方のWiiは本体の販売台数では“辛勝”したものの、後半の本体の売り上げが伸び悩んだこと、ソフトの数が少なかったことから、任天堂は2012年3月期の連結決算で、432億円の赤字を計上してしまう。これは上場以来初のことであった。

 このため、Wii vs PS3の競争の行く末は、任天堂が2世代ぶりに王座を奪還できたものの、最終的には双方共に赤字を計上するという形で終結したのだった。

■現在のゲーム機戦争

 その後、任天堂は2012年12月に「Wii U」を発売し、さらに17年3月に「Nintendo Switch」を展開している。一方のSCEは、13年11月にPS3の後継機として「PlayStation 4」(以下、PS4)を販売開始した。

 一方の携帯ゲーム機市場では、任天堂が11年2月に「ニンテンドー3DS」を発売したのに対し、SCEは「PlayStation Vita」を11年12月にリリースしている。このように任天堂とソニーの闘いは携帯ゲーム機と据え置き機の双方で今でも続けられている。

 だが、ゲーム市場全体で見ると、もはやこうした家庭用ゲーム機の時代は斜陽に差し掛かっていると言える。

「ファミ通白書」によれば、2010年代に入るとスマートフォンの急速な普及により、スマホやパソコンを用いたソーシャルゲームのほうが一般的になり、国内市場規模も12年から逆転し始める。最新の17年の統計によると、オンラインゲーム市場は1兆1273億円に達し、国内ゲーム市場全体の約7割を占めているという。

 ゲーム市場全体としては、13年に初めて1兆円を超え、右肩上がりが続いている。だが、その要因は家庭用ゲーム機の隆盛があるからではなく、スマホとアプリの普及によるものだ。市場規模から見てしまえば、任天堂とソニーのハードを巡る攻防はもはや局所での戦いの様相を呈している。

 こうした動きを振り返って、昭和に生まれ平成に育った者なら、このゲーム機の栄枯盛衰がどう映るだろうか。平成に生まれた者であれば、携帯ゲーム機主体で育ち、そのままスマホゲームにシフトしているかもしれない。

 平成の次の時代、このままゲーム市場がソーシャルゲームに飲み込まれるのか、それとも再びゲーム専用機が息を吹き返すかどうかはまだわからない。だが、どうか忘れないであげて欲しい。平成の御代に繰り広げられた壮絶な闘いのことを。

(文/河嶌太郎)

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