そこで、彼女たちが自分を高めるために自分の意志で行っていることも訊ねた。

「私はいつも、自宅で“一人ライヴ”をやっています」

 柏木が打ち明ける。

「夜帰宅して部屋のカーテンを開けると、窓に自分の全身が映りますよね。それを鏡にして、スマホで音をだして、新曲や、翌日にパフォーマンスする曲を歌って踊るんです。立ち位置を確認しながら、何度も何度も。気づいたことをやはりスマホにメモしながら。できないことが怖いんです。昼間に満足できなかったパフォーマンスをクリアしないと、安心して眠れません。だから何度もくり返して、体で覚え込む。今このままステージに上がってもOK、と自分で思えたら、ベッドに入れます。12月のAKB48劇場13周年特別記念公演ではシングル曲を13曲やりました。あの前夜は朝4時過ぎまで、部屋で一人ライヴです。起床は5時半だったので、ほとんど眠らずに本番に臨みました。たとえ睡眠が少なくても、パフォーマンスはしっかり体で覚え込んでいきたい」

 AKB48、NGT48兼任で第一線にいつづけるには人知れぬ努力があるのだ。

「歌に苦手意識があるので、“鳴る体”づくりに励んでいます」

 そう話すのは荻野だ。

「ヴォイストレーニングで技術を磨くだけではなく、体そのものが鳴るように筋トレを始めました。自宅近くのジムに入会して、体幹を鍛えています。腹筋を特に強くしたいので、腹筋専用のマシンも購入しました。だから、自宅でも毎日エクササイズをしています。自分ではまだ成果はわかりません。でも、自信をつけたいので、入浴中は必ず大声で歌っています。お風呂場はリバーヴがいいので。そのおかげで、劇場公演では以前よりも思い切り声を出せるようにはなりました」

 加藤はAKB48グループの先輩のパフォーマンスを徹底的に研究するという。

「たかみなさん(元AKB48総監督の高橋みなみ)のパフォーマンスがとても参考になりました。私はバトントワリングが得意なので、たかみなさんの動きを自分流にアレンジして、劇場公演で実践しています。表情のつくりかたで一番参考にしているのは、ゆきりんさん(柏木)です。ゆきりんさんはすごい。センターポジションにいるときはもちろん、テレビ画面のサイドやバックに映っているときでも、存在感を発揮しています。なぜ、目立てるのか。なぜ、輝けるのか。笑顔や目線の動きを研究しています」

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