「私はこういった見た目で、普通の男性とは違うでしょう? 当時それを金スマでカミングアウトしたようなものでした。でも、愛ちゃんは世間が何を言おうと、その人の生き方を決めるのはその人自身だと考えていたのかな。『同じ人間なのに、どうして分け隔てがあるの』と一人ひとりの生き方や価値観を認めることが大前提にあった方のように思います」
「LGBT」という言葉が広く浸透する前から、飯島さんは多様な生き方を尊重してきた。他人を色眼鏡で見ることなく、誰とでもフラットに接する姿勢。金スマでの出会いから飯島さんの芸能界引退までの約6年半、「つかず離れず」の関係だった。
引退を惜しみながらも、背中は押したい。そんな気持ちが強かった。だが、一つだけ心残りがある。金スマのウェディング特集で、假屋崎さんが出演する女優陣にブーケを作ったときのこと。
「愛ちゃんには丸いブーケを作らせていただきました。確か、カラーのお花を使ったと思います。塊の中から流れるような、茎がスッと長くて、ポッと咲くお花です。シックな色のものを選んで、真っ白なウェディングドレスに華やかさが出るように意識しました。それをとても喜んでくれて、表情もニコニコ。お嫁さんになることへの憧れがあったんだろうな、と感じました。実は、収録の合間に『カーリー、本番でも絶対作ってね!』という約束をしたんです。実現できなかったことが悔しいです……」
飯島さんを知る人々にとって、その思い出は決して小さくはない。あの懐かしい声で、飯島さんのつぶやきが聞こえた気がした。「それも、いいんじゃない?」って。
(文/福光恵 編集協力/福井しほ)