平昌五輪フィギュアスケート男子シングルで銀メダルを獲得した宇野昌磨は“ある課題”に苦しんでいた--。
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昨季、地元・名古屋で行われたグランプリファイナルで、0.5点差でネーサン・チェンに惜敗した。「0.5負けたっていうのは、そういう日だったんじゃないかな」とあっさりと片付けた宇野。彼の頭を占めていたのは、「4回転トーループ」だった。練習では9割ぐらい跳べているが、なぜか、試合だとそれを失敗してしまうという。
「試合でよく失敗するジャンプは、トーループなんですよ。跳べるジャンプだからこそ失敗しやすい。簡単に跳べるからこそ、いろんなことができちゃうから失敗するんじゃないかな。ギリギリのジャンプはもう力を100パーセント入れる、それ以外にはないので。だからかなとは思うんですけど、それは本当に課題ですね」
その課題は、今季も宇野を悩ませていたが、11月に行われたグランプリシリーズ2戦目のNHK杯で“解決の糸口”をつかむ。ショートプログラムでは、4回転トーループで回りすぎて転倒しまったが、体が動きすぎるのが原因ならば、ショートの4回転トーループを疲れが出る三つ目(最後)のジャンプにもってくることも考えたそうだ。しかし、宇野はフリー当日に“ある境地”に達する。
「構成を変える前に、やはりもう数回このまま調整したいなと……。自分の気持ちをどうコントロールするか、コントロールできないなら、ちょうどいいところに持っていくにはどうするか。やはり向き合っていきたいなと思いました」
課題に正面から向き合う覚悟ができた。それが影響してだろうか、3.39の加点がつき、高く評価されたフリー1本目の4回転トーループは、“突破口”となるジャンプになった。
「結構、練習通りできたという感じだった。一回呼吸をおいて跳びにいったんですけど、回りすぎてしまって……。ただショートと違うのは、分からないから思い切りいったジャンプとは違う、いつもの練習をなるべく再現しようとしたトーループだった」